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境界  作者: はらぺこ姫
第4章
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王都の次の流行

ユウ視点

帰りが当初の予定より大きな荷物になった商人のおじさんは、臨時でユウを雇ってくれて。


ギルドに顔を出し、完了の手続きを取る。


忘れずに買ったニールさんへのお土産も手に持ち。


「ただいまー」


意気揚々と詰所に顔を出す。


「で、今度は何やらかした」


ユウの顔を見るなり、ニールさんは紙を取り出していた。


「それより、お土産!ちゃんと忘れずに買ってきた!」


ユウが取り出したのは、露天で売っていたその土地の守り神のストラップ。


大きな細長い顔の男の人を模したものだ。


その土地独特の色彩。


ユウの村では見たこともない顔。


きっとニールさんは喜んでくれそうなものと、考え抜いた一品。


「いや、それ。あ、ありがとう」


ニールが、お土産を手に固まっている。


よっぽど嬉しかったに違いない。


そこに。


「ユウ、鳥に攫われたんだって!そこ詳しく!」


この前のクラーケンと似たセリフを吐きながら、団員が駆け込んできた。


「要するに、母鳥が雛の餌に丸焼きを狙った。

で、それを阻止しようと一緒について行った。

で、雛の餌を取るのを手伝って、貰ったお礼でトカゲが羽生えた。

うん、ギルド案件」


ニールさんが、箱にぽいっと書いた紙を入れる。


「へえ、羽というよりリボンみたいだね」


飛んでいる時とは違い、ちゃんと身体のサイズに合わせた羽を見ながら、周りを取り囲んでいた団員の一人がつぶやく。


ドラきちも、わかる?みたいに嬉しそうだ。


でも、触ろうとした団員は、何かの力で弾かれている。


「にしても。なんか向こうでは食べたのか?丸焼きは食べたようだけど」


ニールさんがペンを指先で回しながら聞く。


「あ、そうだ。これこれ」


王都に戻る道すがら、商人のおじさんと、あーでもないこーでもないと話し合い、とりあえず作った試作品の瓶を幾つか取り出す。


黒い液体は、何かの薬にも見える。


案の定、何人かの団員が眉をしかめた。


「商人のおじさんが言うには、これから王都で流行るものらしいです」


ユウがギルドからここに来るまでの道すがら、王都の市場で買ったものを取り出す。


「この丸パンに、切り込みを入れて。ステーキをカットしたやつを入れる。で、この調味料をかけて」


商人のおじさんに教わった通りの手順で、ユウは再現する。


「ニールさん、食べてみてください」


受け取ったニールが、おそるおそる一口。


咀嚼。


飲み込む。


次の一口に至る頃には、パンは消えていた。


「これ、夜食にいいな」


ニールのつぶやきに、近くで様子を見守っていた団員が、我も我もと群がり、自分で作り出す。


「サンドイッチも良いけど、これの方が腹に溜まるな」


その一言で、誰かが教えてくれた商人の元へ走っていった。

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