そして再び王都
「団長にお土産はどうだろ」
戻ってすぐニールさんの詰所に行ったユウ。
ラオスおじさんとの連絡手段が無いことにキョトンとする。
「自分らですら、滅多に会えない方なんだよ」
しょんぼりした、ユウに。
「一応、報告はあげてやるから。な、な」
と、そこに外回りから帰ってきた別の団員が。
「クラーケン倒したんだって。ユウ。そこ詳しく!」
ニールの顔が、は?っと固まる。
「そっちの報告が大事だろ!」
何を大騒ぎしているかわからない。
「要するに、捕まった人を助けたのは事実。
で、クラーケンは海に帰った。
で、その一部を持って帰った」
ニールが書いた紙を見ながら、確認するようにユウに聞く。
「冒険者のおじさんが、ギルドに報告用と、お土産用に別々に包んでくれて。
で、ギルドに渡した後、ここにきた」
ユウはコクコク頷く。
「うん、これはギルド案件。以上」
紙をぽいっと箱に入れるとニールさんは、揺らしていた椅子から立ち上がる。
「俺たちのぶんは?」
ユウの顔が申し訳無さそうになる。
「無いです。もう食べちゃいました」
ニールの顔が、机にぶつかった。
詰所を出た後、買い物がてらぶらぶら歩く。
時折、誰かが声を掛けてくれて、それに答えて。
やがて夕暮れとなり、ユウは荷物を抱えて歩く。
ふう。と息を吐き。
家の方に顔をあげると。
「ラオスおじさん」
ユウは会いたかった顔を見つけ、駆け出した。
「おかえり」
ラオスも思い切りぶつかったユウの身体を軽く片手に受け止める。
「お土産。クラーケン」
ユウの言葉は最早片言でしかない。
「あー。なんか報告書にあったやつか」
そこからのユウの言葉は止まらない。
冒険で怒られたこと。
村との違い。
そして、そして—。
ラオスは、相槌を打ち、時折補足を加えながら、ユウの話を聞く。
やがて、ラオスが買ってきた出来合いの料理も食べ尽くされ。
ラオスがふとつぶやく。
「そういや、コラディウスが言ってたんだが…。
ドラきちは、男の子の名前だそうだ。
ちなみにそのトカゲはメスらしい」
その言葉に、ユウは肩に乗ったドラきちを見る。
ドラきちは、いやんとばかりに両手?で顔を覆った。
「でも、まあ。名前が気に入らないなら、怒るらしいから、大丈夫だと思う」
ラオスの慰めも、ちっとも嬉しくなかった。
ラオスが帰った後。
「名前、変えた方がいい?」
念のため、ドラきちに聞いてみる。
ドラきちは、少し首を傾げ。
ユウの髪をはむっとだけする。
『本来の名前からそう変わらん』
初めてユウの頭の中に響く声。
「そっか。なら良い」
でも、と考える。
「静かだね」
やっぱり、1人(と一匹)の夜にはまだ慣れない。




