初仕事
ユウ視点
次の日。
地図を片手に、ユウは街の中を歩く。
「あ、昨日の」
と、昨日のユウを知っている人だったり。
「ああ、赤マントね」
と、うんちくを教えてくれたり。
昨日とは違い、声をかけると行く先々で、人が好意的に話をしてくれる。
「お、ユウじゃないか。どうした。地図を持って。迷子になったか?」
ニールさんの声に振り向く。
「この辺で、赤マントが消えたらしいんで、見てたんです」
ユウの言葉に、ニールさんも頷く。
「そうなんだよなあ。何故か途中で消えるんだよ」
2人で悩んでいるところに、ギルドの職員が手を振っている。
「あ、丁度良かった。ユウさん、仕事です」
一旦、赤マントの話は忘れて、ギルド職員に付いていくユウ。
ギルドに入ると、受け付けの人が、他の冒険者にも声をかけていた。
「ユウさんの場合は、今回見習いなので、
タグはありませんが、こちらをご使用ください」
手渡されたのは、手首に巻くバングル。
「これには、一緒に行く冒険者の名前があります。
緊急時には、このように、バングルを引きちぎっていただきますと、
冒険者ギルドに通知が行くようになっています」
説明に、ユウは頷く。
「今回の行き先は、港町になります」
指し示された場所に、ユウの顔が輝いた。
~港町にて~
道中は、大きな事件もなく。
無事に港町へ辿り着く。
他の冒険者の人たちも経験豊富で、色々なことをユウに教えてくれた。
「ユウ、とにかく、食べ物に釣られてついていくな。
それに、匂いに釣られてふらふら歩いて行くな」
…そこだけは納得出来ない。
「まあ、とにかく無事に着いた。ここは、皆で網焼きするんだよ。
ユウの村とちがって。だから、浜辺の方に歩いていくといい」
と、冒険者の人たちが教えてくれる。
商人の人ともずいぶん打ち解けて。
「ユウ、帰りもお願いね。あの鍋よかったわ」
と、次の指名まで頂き。
ユウは教えられたとおりに浜辺へ向かって走っていく。
「わーい。海だ!!」
今まで見てきた湖とは違う、波の音。潮風、そして…。
「クラーケンだ!!」
誰かの叫び声がする。
ユウの目に映ったのは、何人かの人を喰らおうとする、巨大な生き物の姿だった。
「ねえ、あれ、本気で危ないよね」
つい、いつものように話をするも、誰も答えてくれない。
返ってきたのは、波の音と、逃げ惑う人々の姿だけだった。




