嵐の新人現れる
ユウ視点
~冒険者ギルドにて
冒険者ギルドは蜂の巣を突いたような騒ぎになっていた。
「竜の守護者、コーディ様の紹介状を持って来たのは君かね?」
ギルド長らしき人が慌てた様子で駆けてくる。
ユウは首を傾げる。
出かける前おっちゃんから、ちょっとしたお守りみたいなもんだと渡された手紙。
それを出しただけで、これ程の騒ぎになる?
「おまっ、何故それを先に言わないんだよ」
ニールの言葉に首を傾げるユウ。
「竜の守護者は、伝説級のギルド!
境界に呑まれたとされていたんだけど。
その生き残りが、団長の弟のコーディ様!」
確かに、ラオスおじさんと、おっちゃんは良く似てるなあとは思ってたけど。
「そこで気づけよ。まー、しゃあないよな。田舎だしな」
ニールは、ため息を付くと、受付の人とギルド長に一言、二言話をする。
そこで、一応騒ぎは鎮まった。
「コーディ様の紹介状には、使い魔がいるとのことだが、見せてくれんか?」
ニールと一緒に通された客室。
居心地の悪さに、ソワソワするユウに、ギルド長は紹介状を読み尋ねる。
ニールは、もー何が起きても驚かねぇ。と小声で呟いている。
「使い魔?トカゲなら居ますけど」
胸ポケットから取り出したのは、トカゲのドラきち。
境界がオーロラに包まれたあの日、木の実だと思って拾い。
コラジイに見せると、それは卵じゃと言われ。
ずっと持っていたら、トカゲが孵って。
ナナのドラコが羨ましくて、ドラきちと名づけたのだ。
「そういや、ドラきちのご飯まだだったよな。ほら、これ」
ユウが、干し肉を取り出し、ドラきちに渡す。
それを、両手で持ち、はむはむと食べるドラきち。
皆が少しほっこりした、その時。
げぷっ。
ゲップと共に出る小さな炎。
「まて、まて、まて。それ」
慌てるギルド長。
「火種に便利ですよね。鍋の前なんか重宝してます」
キョトンとして、その後満面の笑みで告げるユウ。
「あー、確かに紹介状の通りだ。まず常識からだなあ」
紹介状とユウを見比べ、ギルド長は肩を落とした。
ため息とともにギルド長は、すがるようにニールを見る。
ニールは、首をぶんぶん振った。
「騎士団の仕事はここまでです」
ギルド長は、諦めたようにユウを見る。
「ギルドタグ作成まで、どっかで見習いでもするか?」
ユウの首がこてんと横に傾いた。
「美味しいものがたくさんあるところが良いです」
ユウの答えに、ギルド長が悩む。
「ならば、商人達の護衛はどうだ?
色々町を巡りながら、その土地の美味しいものを食べるのが仕事だ」
ユウの顔がキラキラ輝く。




