番外編①月夜の問い
ラオス視点です
ラオス×エリー出会い編です
~シェルガード家~
ラオスは、両親の後ろに立ち、その姿を眺めていた。
中央には、エリー。
王国式の女性礼を緩やかに、控えめながら流れるような所作で行っている。
対する、残りの三人は。
父親は、脂汗を拭くのを必死になり。
義母は、礼の存在すら知らないように突っ立ったまま。
そして、その娘は…。
しばらく、ラオスの顔を、口を開けて見惚れた後。
真っ赤になりながらも、どうにか女性礼を行った。
母上が、軽く扇で手の平をトンと叩く。
そして、おもむろに口を開いた。
「これは、決定事項よ。
うちのラオスとエリーの婚約は、この場を持って決定したわ。
もし、この先彼女に何かあれば、…一瞬で家が飛ぶことを覚悟なさい」
父親が口を開きかけるも、そのまま頭を下げる。
「持参金など結構。はした金なんて必要ないわ。
そうね…もしどうしてもというなら…。
従妹が嫁いだ時に持っていたネックレス。それを持たせなさい」
両親の顔が真っ青になり、自身の娘の首元をみる。
娘は、思わずといった体で、ネックレスを押える。
「あら、そう。そうなの…いいわ。それだけのことなのね」
母上が、もう興味なさそうに、ソファにもたれる。
「以上だ」
最後に、父上の言葉。
「はい。謹んで拝命いたします」
エリーは、一度も顔を上げることなく、後ろを向く。
そして、何事もなかったかのように、出口へ向かう。
取り残される3人。
「え、どうぃう」
「な、なに?」
「うー」
という声を残し、使用人たちに促され、退出していく。
「そうねぇ…。エリーは、行儀見習い。で、別棟に」
母上の言葉に、執事が礼を持って退出する。
ラオスも、そのあとを追いかけるように退出した。
~そして、夜~
“いつもの”茂みの影で、赤マントに仮面を付けた男が座っている。
そこに、エリーが来て、座る。
しばらく、月を眺める二人。
「あー。その、なんだ。結婚するんだな」
ラオスの問いに、短く肯定するエリー。
「あの…あの男は、君に苦労を掛けるだろう。そして、面倒も」
その時、ふふっ。と小さな笑い声。
「…約束、したんです」
何を…とは言わない。でも、月を眺めながら続ける。
「…未来を見せてくれますか?」
ほんの少し、遠く感じるエリーの声。
「…ああ、一緒に未来を探しに行こう」
そのまま、月を見続ける二人。
後ろの方で、小さな光がほんの少し、大きくなった。




