番外編①月夜の覚悟
ラオス視点
ラオス×エリー出会い編です
~ラオスの私室~
ラオスは、私室で写真を眺めていた。
そろそろ、相手を―。
母上の声が、頭の中でこだまする。
一つ、一つ、相手と、自分の情報をすり合わせ、吟味していく。
途中で、ふと手が止まる。
「これは…」
そのまま、写真を閉じ。
「おい、母上に取次ぎを―」
執事は、一礼をして立ち去った。
~母上の談話室~
「―ええ、そうよ。
あの家は、私の従妹が嫁いだ家。
だから、あまり知られていない伯爵家ではあるけれど。
うちの侯爵家ともつり合いが取れると踏んだの」
やはり…。
「では、これはどういうことでしょう?」
取り出した写真。
「は?誰、その娘」
やはり、母上も気づかなかったらしい。
「確か、公にはされていませんが、母上の話では、王家に伝わる色が存在するはずです」
あの、エメラルドグリーンの色は間違いなければ…。
「ええそうよ。黄金の髪、エメラルドグリーンの瞳。
ぱっと見て、違いは判らないでしょうね。
でも、血統の者には、このどちらかが引き継がれるわ。
私は瞳の色は引き継がなかったけれど。
この髪の色は、あなたも同じ、王家の血筋を表すの」
ならば…。
「では、母上が調査していただけますか?
下手に私が動くと、婚約などと騒がれてはたまったものではない」
ほんの少し、嫌悪感を滲ませる。
「ええ、もし、王家をコケにしているのであれば、ただじゃおかないわ」
母上の手の中の扇がミシリと音を立てた。
~数日後~
「あなたの婚約者が決まったわ」
母上に呼ばれて、開口一言。
「一応、お伺いしても?」
ドクリ。
心臓が音を立てるが、気づかれてはいけない。
「エリー。例の家の、”正当な”娘よ」
母上の機嫌が悪いのが判る。
「あの家。従妹が亡くなってから、後妻がいたのは知っていたわ。
でも、まさか、愛人との娘を後継者として表に出すとは。
なんて恥知らずな」
…なるほど。それで。
「しかも、彼女“境界の問いに答えし者”よ。
それがどれほど貴重か」
ドクリ。
再び心臓が音をたてる。
母上の独り言が止まらない。
「ええ、境界は欲を持って入れば、飲まれる。
ただし…問いに答えれば戻ることが出来るの」
母上が、ここで、顔をあげる。
「ええ、だからお迎えしてあげるわ。
エリーと一緒についてくる、恥知らずな羽虫2匹も」
母上の、笑顔が氷のように冷たく光った。
ラオスは、一礼をする。
「では、そのように」
扉の向こうの母上の怒りに触れないよう、ラオスはそっと立ち去った。




