村の足跡
バザー。
鳥が慌てたように飛び立つ。
そこに、
コツ。
石畳でも無いのに、無機質な杖の音。
「ふむ。空気は澱んでおらんようじゃの」
つぶやく声と共に、村の入り口に降りたったのはコラディウスだった。
「あー、ラオスおじちゃん。
あ、エリーお姉ちゃんも!」
頭にドラコを乗せたナナが、
ユウの静止を振り切って駆けてくる。
「コラ」
コツっという音と共に、落ちる声。
ナナの動きが、ビクッと止まる。
頭の上のドラコも、翼を広げたまま固まる。
「走るな。転ぶ。転べばどうなるかわかっとるか?」
ナナは、動きを止めたまま。
「…痛い?」
「わかっとれば結構。次から何をすべきかわかろう」
ユウが、ポツリと。
「誰?」
そこに、ガラガラとリアカーの音。
「げっ」
ナナと同じ形で固まるおっちゃん。
「…ほう」
コラディウスの目が細くなる。
「手紙の書き方も忘れるほど、退化しおったか、ヒョッコ」
おっちゃんが何かを言う前に。
「ぴよぴよ言うとる間があれば、手紙の書き方の一つでも思い出せ」
コツっ。
また、杖の音。
「で、でも、コラ、デ、デゥ」
タジタジになるおっちゃん。
「コラジイ?」
「コラジイって言ったね」
ナナとユウの声が重なる。
ラオスが何か言うより先に。
コツっ
「コラジイで結構。お前らには、長い名前など覚えられんじゃろ」
そこに、エリーがパンと手を合わせる。
「皆さん、お腹空きませんか?」
はっとしたように、コラジイが目を向ける。
「その土地の健康度を測るには、まず食事から見ねばならん。案内せい」
一行が去ったのを見計らって、
おっちゃんはズルズルと、リアカーにもたれる。
「なんで、よりによって、あのジジイ連れてくるんだよ…」
後ろで、ペッカじいちゃんが顎ひげを撫でる。
「全部食われる前に連れてってくれんかのう」




