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境界  作者: はらぺこ姫
一章
2/4

常識を信じる村人の朝

村人視点

カーン、カーン、カコン。


俺の日常は、朝の薪割りから始まる。


霧の向こうにある家の方からは、嫁の焼く肉のいい匂いが漂う。


どうやら、今日の子供達の弁当は、人気の肉のようだ。


この村では、他所の村と違って、若い者が出て行っても、何故か料理が上手い連れ合いを連れて戻ってくる。


かくいう、俺もその一人だ。俺の嫁の出す料理が一番美味い。


俺の嫁も、この村に最初は戸惑っていたようだが、今では、すっかり産まれた時から、この村にいましたけど?と言わんばかりに馴染んでいる。


俺が、嫁との馴れ初めを思い出している時、


「うぉーい」


親父の声だ。


 親父の朝は、鶏、牛に続いて始まる。


「うおーい」


2度目の親父の声。


親父、すまん。俺は忙しいんだ。


カコン、カコン、コーン

カコン、カコン、コーン

カッ、カッ、コーン


あ、今、隣に住むおっちゃんが、無事なんとかしてくれたようだ。


カコン、カコン、コーン


安心した、俺は、残りの作業に勤しんだ。


無事作業も終えて、朝ごはんには、俺の好きなスープ、おっちゃんの好きな木の実パン。


確かあれは親父の好物で、って案の定、親父の手が、嫁とおっちゃんで話している隙に伸びている。


「おいっ、この前詰めかけて皆に迷惑かけたの忘れたのかっ」


バツの悪そうな顔をする親父。


「パン粥ばかり、飽きた」


他の物より硬いパンなんぞ食べさせて、何かあったら、お袋が化けて俺の枕元に出かねない。


隣では、嫁が弁当を差し出している。そういや、今日のメンバーは、あいつとあいつか、なるほど。


「今日は、ほら見てください」


心得た嫁は、親父の好みのものを用意したようだ。


「そうじゃのう。今日は好物だし行くかのう。そういや、この前の鍋の具は、誰じゃ、石なんぞ鍋に入れおってからに。美味い、不味い以前に、鍋に食えんもの、入れるでねぇ」


ブツブツ言いながらも、出掛ける準備を始める親父。


隣で食べていたおっちゃんは、とっくに二度寝に戻ったようだ。


元気な頃は、採取が村一番だった親父だ。今でも、食える、食えないは、本能レベルで判断が出来る。安心して任せよう。


リアカーに、過去の記憶より少し小さくなった親父を乗せる。


外にいる他の、年寄り連中をみた途端、


「他人の食いもんに手、出すな、トイレは早めに言え、それから」


本当に言いたかったのは、ああそうだ。


「今日も無事に帰って来いよ。じゃないと、皆に迷惑が掛かる」


その時の、俺は知らない。

自分の親父が変なもん食って、ペカーと拳を突き上げ戻ってくる未来を。


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