高いお酒が来た日
夜。月夜が照らす。
子供たちが、一人、また一人と闇に溶けるように消えていく。
笑い声が遠ざかり、代わりに虫の音が大きくなった。
当然のように鍋は片付いている。
焼き網を運ぶ村人の足音は、驚くほど軽い。
誰かの、ひび割れた陶器の瓶が置かれた。 無造作に、栓が抜かれる。
網の上で何かが焼けている。
村の酒が、いつの間にか回っている。
ラオスが、ふと思い出したように、荷物から小瓶をいくつか出す。
村の酒とは違う、細身の瓶。
何も言わず、視線も合わせず、おっちゃんの前に置く。
沈黙する二人。
少し遅れて、
「この前の報酬、酒と飯があればいいと言っていただろう」
それだけ。
おっちゃんは、ラベルをちらりと見る。
(王国中央の物だな。しかもそれなりの)
おっちゃんは、何事もなかったように、手近な杯を手繰り寄せる。
自分の器に少しだけ注ぎ、一口。
「……悪くない」
瓶を、そのまま皆が取りやすいよう中央に置く。
ペッカじいちゃんが隣で、カリッと焼かれた肉をエリーに渡している。
ラオスの停止より、先にエリーが一口、口に入れている。
「肉は…」
エリーが隣で、首をかしげる。
「いただきましたから」
パチパチと火の弾ける音。
「そうか。…無理はするな」
村の誰かが、飲み比べを始めている。
ペッカじいちゃんが、光る草をラオスが持ってきた酒に浸している。
「ちぃっと繊細な味じゃのう」
おっちゃんの眉がピクリと動くが、そのまま残った酒をあおる。
「そうか、次からは善処しよう」
ラオスは、村の酒を確かめるように、一口。
隣で、エリーがもう一口、串を齧るのが見える。
そして、ラオスは寝る前に、報告書を書くための紙を広げる。
野営地としての観点より
・湖周辺の地形確認
・足場安定性:問題なし
・水深:浅瀬あり
・風向き変化あり
・昼間の利用に危険性なし
・休憩地点として使用可能
以上。
引き続き、調査が必要なようだ。




