全員整列!
エリー視点
戸惑うお鍋を被った子。
そこへ、安心する足音が聞こえる。
「どうしたんだ、エリー」
少し息を乱しながら問う、ラオス様に事情を説明する。
「ふむ」
私と子供を見比べるラオス様。
ややあって。
「今から、任命式を開始する。全員整列」
あら、ちゃんと騎士礼をしてるから、多分ラオス様の部下でもあるんだわ、きっと。
「その前に、一言。任命式に兜はいらん。控えのもとに渡せ」
お鍋が私の手元に渡される。先にスープ作っても良いわよね。
「ねえねえ、何手伝えばいい?」
エプロンをつけた子が聞く。
「そうねぇ。あなたの持っている木の実を見せてくれる?」
そこに、
「隊長は私なんだから、これは私の仕事でしょ!」
無事任命式も終わったのか、もう1人の子が合流する。
「きのこが無いわよねえ」
隊長さんが、騎士礼をする。
「行ってきます」
ラオス様がその子に森への注意を促しているんだと思う。大声で何か叫んでた。
「まて、まだ終わって…、だから、森は危ないって言っただろうがっ」
また、走り去るラオス様。
「出来たよ〜。全員整列!」
木の実を綺麗に並べて、くれた子にお礼を言う。
「ありがとう。そうねえ。これとこれが美味しいと思うわ」
横でお爺さんが魚に串を通している。流石、あれは菜箸じゃなかったのね。
ラオス様が、念の為にと持たせてくれた、短刀を使い、魚を捌く。
ちゃんと選別されたきのこ。流石隊長。
「あー。騎士たるもの、姫に剣を捧げるのが礼儀だ。貸してみたまえ、私が手本を見せる」
渡されたお玉。かき混ぜるものが無かったから、丁度よかったわ。
グツグツと煮え立つお鍋。
「うんめぇ」
スプーンを持ち、味見をしてくれるお爺さん。
「当たり前だ。料理をさせたら、彼女に叶うものなどない」
それは、ラオス様の好みに合わせてるから、当然な気もするけど。
「私も、味見隊長やりたいっ」
「私は料理隊長なんだからっ」
子供達は火傷したら危ないから、少し冷ましてあげないと。
ぐつぐつと煮え立つお鍋。
小さな器を二つ取り出し、ほんの少しだけ入れる。
「まずは、料理隊長さんから。味見隊長さんも一緒にお願いね」
渡された二人は、ちょっとびっくりしている。
「合図はふーってしてからよ」
二人で顔を見合わせ、真剣な顔でふーっとしてから、こくり。
「「おいしーい」」
二人の声が重なる。
後ろで、ラオス様も、大きく一度うなずいている。
「さあ、出来ました。どうぞ召し上がれ」
鍋を囲む賑やかな空気。
私は、鍋の中をくるりとかき混ぜた。




