表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
境界  作者: はらぺこ姫
第2章
15/27

酒が教えるもの

何を言うでもなく、

子供たちが一人減り、二人減り。


鍋はいつの間にか洗われ、

代わりに網が置かれる。


どこからともなく酒が現れ。


月に照らされ、

やや声を抑えた大人たちが、がやがやと話をしている。


ほんの少し特別なことがあった日の日常だ。


「あー。これ、わしの部屋にあったやつじゃないか?」


ペッカじいちゃんが瓶を見るなり言う。


「早く飲まんと、悪くなる。

旨いうちに飲むのが礼儀じゃ」


息子も負けていない。

遠慮なく瓶の蓋を抜く。


きのこと混じった、いい香りが辺りを漂う。


それを、遠慮なく、

ラオスとおっちゃんの器に注いだ。


「おー、これこれ」


おっちゃんは、嬉しそうに飲み干す。


ラオスは、少し香りをかぎ、首を傾げ。


「…ふむ?薬酒の一種か?」


と言いながら一口。


いつの間にか、

ドラキーのドラコも、同じように器を口元に運ぶ仕草をしている。


「で、だ?どうすんだ?」


村の誰かがいう。


「食いもんは、心配なさげだけどな?」

「風呂、入れんといかんか?」

「子供らが拾ってきたんだから、子供らにやらせりゃいいだろ」


話す人の動きに合わせて、

ドラコも首を傾げたり、うなずいたりする。


「…危険は感じないのか?」


ラオスの問いに。


皆何の話だ?という顔で見合わせる。


「だって、ラオスさんが何も言わないってことは、心配ないってことだろ?」

「おっちゃんだって、何も言わねぇしな」


何より、とラオスを指さして。


「懐かれてるもんなあ」


言いながら、腹を抱えて笑う。


ラオスとおっちゃんが、思わず顔を見合わせる。


「…そっくりじゃよ」


ペッカじいちゃんが、

懐から光るきのこを取り出す。


ラオスが止める間もなく、網に乗せる。


ジュー


香ばしい匂いが辺りを漂う。


ラオスは、浮かしかけた腰を、そっと戻した。


「…似てねえよ」


今度は、自分で酒を器に注ぎながら、おっちゃんが言う。


「似てないな…」


ラオスもぽつりとこぼす。


なぜか、大爆笑する村人たち。


「ほれ、焼けたぞい」


ペッカじいちゃんが、

焼けたきのこを二つに分け、ラオスとおっちゃんの皿に乗せる。


二人同時に口に入れようとして。


「「あづっ」」


さらに、大爆笑。


何がなんやらわからないまま、夜はお開きとなり。


ラオスは、報告書を広げる。

「さて、報告すべき事項は…」


付けられた項目は、すべて保留。


「これは、もう一人必要だな…それには」


さらさらと、何かを書きつける。


月明かりが雲に隠れ、

その表情は、うかがい知ることができない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ