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第三十四話 親の記憶

俺はまた別の夢を見た。こちらはやけにリアルだった。これはきっと俺の親父が見ていた景色なのだろう。


結婚したのは二十八歳の時、高校生の時からの彼女と添い遂げた。彼女には恥ずかしくて言えてないが、実は一目惚れでした。


美しく艶のある黒髪。少しジト目で幼さが残る顔。背丈は少し小さめだった。別に私はロリコンではない。その容姿と体型で我が校が誇っていたセーラー服に身を包む。私はラノベの中に入ったような気分だった。


彼女と出会ったのは一年生の時。

下駄箱で上履きを取る時、ふと風が吹いた。

そして、振り返ると、桜吹雪をバッグに彼女がいた。


私は生まれて初めて天使を見つけた。

それから、私の人生は大きく変わった。

高校入学というのも大きな転機だが、これ以上に私の初めての彼女。


そう、私はリア充への仲間入りを果たした。 それから高校三年間はラノベで履修済みのラブコメイベントの数々を経た。


気づけば、高校生活は終わっていた。

あという間だった。

その後、私は大学に進学した。

親に感謝しかしていない。


彼女は専門学校だった。料理人という夢があったらしい。

是非ともお嫁に欲しい。

それぞれの進路に進み、私たちの関係はそれまでかと思われたが、それは違った。


大学生でも激甘イチャイチャ生活をしていた。

やがて、家を出て一人暮らしをはじめると、彼女は毎日のように遊びに来て、いつしか一緒に暮らしていた。


大学を卒業し、それなりのIT企業に就職した。 その六年後、一人暮らしというか、彼女との愛の巣から引っ越し、立派な一軒家を買った。


そして、新居の匂いが鼻を満たすなかで、プロポーズをした。我ながら、勝手なことをしていた。


そして二年後、子供ができ、無事に生まれた。男の子だった。


「貴方、あまり怖い顔をしないで。」


妻の言葉だ。 確かに私の顔は怖い顔。目つきが悪く、笑顔も不気味だ。息子が私に似なくて良かったと思っている。


そして、二年後、そこから五年後、第二子の男の子、第三子の女の子が誕生し、我が家はにぎやかになった。


長男が五歳の頃。 私は育休みたいな、そうじゃないみたいな感じで、テレワークをしていた。その合間、合間に愛しの我が妻の手伝いをし、それなりに充実した日々を送っていた。


そんなある日。我が長男が突飛な行動した。私のPCを使って私の仕事の資料を作っていたのだ。私はその光景に目を疑った。


ー五歳の子供だぞ!?PCのPの字すら分からないぞ…


大人顔負けのスピードで資料を作っていた。きっと、家の子は天才なのだ。

だが、人のPCを勝手に使うのは良くない。学生時代の若気の至りのあんな写真やこんな写真。わが妻の写真すらもある。万が一、消されてしまったら、私は喪失感で鬱になり、やがて自ら…ってことが想像できてしまう。


「こら!□□□□□。やめなさい。人のPCは勝手に触ってはいけませんよ!」


私は息子におそらく初めて叱るということをした。息子は泣きそうになりながら、私の書斎を後にした。 その後も、息子の書斎侵入事件とPC操作事件がたびたび起こった。


私は息子の六歳の誕生日の時にパソコンに興味があるなら、買ってやろうかと提案した。息子は迷わず、首を縦に振った。満面の笑みで。


私はキャッチーな電車を交えた歌が特徴の家電量販店で学習者用コンピューターと名高い某ノートパソコンを買った。理由は得ない。強いて言えば、安い。子供の一時の興味にかもしれないからだ。


息子は毎日のようにパソコンをいじっていた。いつしか、サイトを作りますと言ってお金を稼ぎ始めた。わが息子ながら恐ろしい。もちろん、私が面倒な事はすべてかわりにやった。息子ただ、サイトを作っていただけだ。


そして、靄がかかかった。また、傷が痛む。


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