第三十話 勇者ってバランスブレーカーだよな!
サントがつかまる前。
ガグルは城から出たあと、瓦礫の中で夜を越そうとしていた。隣の瓦礫でねているはずのフィオラの様子を見る。
……
いない!?
フィオラがいない。
上着は置いてある。
用を足しに行ったのだろうか。不安は残るが、ガグルは瓦礫に戻った。
翌朝。
騒がしい物音でガグルは目覚めた。
目を開けると、瓦礫の中から微かに見えた。騎士たちが荷物を運んだり、武器を整えたりとする姿が。
「倉庫の配置は覚えているか?四日後だ。急げ。」
少し地位が高そうな騎士が現場の指揮をとる。
倉庫…?四日後…?
荷物のことか?荷物はサントがアイテムボックスにしまっているはずだ。
どうして?
連絡のために用意しておいた『伝令の加護』で連絡は取れるはず。何かあれば、必ず…
ガグルは『伝令の加護』を発動する。
ーーーサント…
ーーバチン!
『伝令の加護』が遮られた。加護を打ち消せるのは加護を施した者と同等以上でないとできない。つまり、神が関与しているのか…
とりあえず、フィオラだ。昨日の夜、見かけなかったから心配だ。ガグルはフィオラがいるはずの瓦礫を見に行った。
「フィオラ!」
ガグルは瓦礫の中にいた。案の定、フィオラはいなかった。
ーもしかして、攫われた…?
ガグルは『追跡者の光』を使ってフィオラの痕跡を探す。
ーバチン!
また、『伝令の加護』の時のように切断される。
ガグルは舌打ちをした。
今回の黒幕はフィオラだと確定した。
しかも、加護を打ち消せるほどの存在。微かに見た痕跡から悪魔であると判断できた。
受肉体か、顕現体か。
受肉体であってほしい。そうすれば、フィオラは敵でない。
ガグルの中で何かが引っかかる。
もし、顕現体であれば、金竹の森の時点で、オレ達を殺せば、荷物も手に入り、計画は円滑に進む。
でも、そうしなかったのであれば…
ーー受肉したのは入国後だ。
考えられるのは昨日の夜。あの時か。
確かに、応接室の時に寝るなど普段しないであろう行動がしばしばあった。
で、今の状況。
四日後にフィオラが必ず仕掛けてくる。
もしくは内戦が始まる。
革命派の情報が欲しいが、サントはフィオラに捕まっているな。
サント…サント?
サントの痕跡なら追えるな。
サントがいる場所にフィオラもいるはずだ。
でも、相手は悪魔だな。分身も使える。サントのところにいるが、本体とは限らない。
ガグルは考える。
自分はどう動くべきか。
「サントのところ行こう。」
『韋駄天の加護』で東側に移動する。『追跡者の光』でサントの痕跡を追う。点々とサントとの足跡が光る。新しいものだけを追い、ガグルは進んでいく。




