第三話 初仕事って言うのは誰でもキンチョーするもんだ。
戦後流通配給物資拠点に着いた。
簡易テントのような場所に机が置いてあるだけの、簡素な拠点だった。
その背後には、場違いなほど巨大なレンガ造りの倉庫がそびえている。
ルー王国内での配給は、魔法技術によってほぼ自動化されている。
だが、国外まではそれが及んでいない。
その結果、ルー王国は物資を独占しているとまで言われ、人間同士の争いが起きることさえ危惧されていた。
……なんて、醜いのだろう。
「お前のことは信用していない」
マクロサーは、開口一番そう言い放った。
「勇者ガグル様に目をつけられ、王も甘い。お前のような者が、いつ何をしでかすか分かったものじゃない。私は極刑を勧めたのだがな」
それ、本人に言いますか……。
「だが、王が認める以上、文句はない。
お前には北方のバルム国へ物資を運んでもらう」
雪国で、戦後不毛の地となり、飢饉が起きている国。
援助申請は来ていたが、届ける者がいなかったという。
「荷物はそこだ」
そこにあったのは、まさに歩荷用の荷。
腰から頭まで覆う巨大な背負い袋だった。
ただし――食料の重みは、感じられない。
「気づいたか。これはルー王国最新の魔法圧縮技術だ。
二年分の物資を、そこまで圧縮してある」
解除用の暗号は、すでにバルム国に伝えてあるらしい。
「持ち逃げはできない。期限は四ヶ月。過ぎれば、仕込んである核撃魔法が発動する。」
……命懸けじゃないか。
初仕事ってのは緊張するものだが、
これは別の種類の緊張だ。
どうやら俺は、
「運ぶだけの仕事だとなめていたな。」
はじめまして。猫治です。
物語を読んで頂きありがとうございます。
初の連載投稿です。拙い文章だと思いますが、おつきあいして頂けると幸いです。
第一章までは完成しているので定期的に投稿していきます。読んで頂けると嬉しいです。
最後に、この物語を読んで何か一言で頭に浮かんだ方は書き残してくれると嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。




