第二十四話 歴史は学ぶが、結局は全部同じ事を繰り返してるよな!?
地上に出た。薄暗い地下から出たので日の光が目を刺激した。ぼやける視界で見渡すと、入国時にはいなかったたくさんの人が瓦礫を囲んでいた。人々はくすんだ服に身をつつみ、骨格がはっきりと分かるほど痩せていた。しかし、くすんだ色のなかに一つだけはっきりと見える色があった。赤色だ。右腕に赤色の布を巻いている。赤布の人達は演説台のような所周辺にきれいに並んでいた。
一人の男が登壇する。
とても目の引く真っ赤なマントをしていた。身長も高く、短髪で凛とした顔が印象的だった。壇に登るにつれ、人々は歓喜していた。やまぬ歓声、止まらぬ拍手。いわゆるカリスマと言うやつだろうか。それとも第一次世界大戦後の独裁者達のような存在か。俺には区別ができなかった。銀次は歓声に耐えられず、小さくなって俺の服のなかに潜った。
男が拳を掲げた。すると、歓声が静まり、注目が集まる。
「我々、革命軍は大きな転機を迎える。とある協力者から有力な情報を得た。まもなく、ルー王国から支援物資が届くそうだ。」
聴衆は跳びはねて喜んだ。安堵からか、涙を流す者もいた。だが、聴衆の反応とは対照的に男は暗い顔をした。
「だが、その物資は憎き王族と誇り高き革命軍とを結ぶ、地割れの途切れに運ばれるそうだ。」
人々は首を回し、倉庫を見た。すべて瓦礫となり、遮蔽物がないからよく見える。唯一立派にそびえ立つレンガ造りの倉庫が。
「そうだ。あそこに物資が届いてしまっては、我々に物資は回ってこない。権力にものを言わせ、王族共が独占するだろう。」
聴衆は全員頷いた。ふと、振り返ると俺が出てきた扉から中でうずくまっていた人々が出てきていた。
「では、我々は何をすべきか?奪われるくらいなら奪ってしまえ。簡単な話だ。物資が届く日はまだ分からないが、我々は決起する。倉庫に物資が届いた時が反逆の開始だ。」
聴衆は真剣な顔をしていた。静かだったが、内側に燃える熱気が俺にも伝わった。
「私は平民出身の元王族として先陣をきる。どうか、我々に力を貸してくれ!!!」
マントが風で波びいた。
「私の名前はフォーゼ。革命軍を先導し、この国に新たな秩序を築く者だ!!!!」
最大の歓声が沸く。人々はやる気に満ちている。俺は人魔大戦時のイートス王国の政治体制は知らないが、この様子をみれば、権力者が好き勝手していたとよく分かる。
フォーゼは演説台から降りた。それを見た聴衆も次々と地下に戻っていった。そして、演説の跡地には俺しかいなかった。
「旅の人。」
この澄んだ声はエルだ。
「このままでは内乱が起こるでしょう。」
それはそうだ。これだけ、不満と反逆の意思が集えば、争いは避けられない。
「馬鹿らしくないですか?」
エルは空を見た。
「世界はこんなにも広いのに、こんな小国の中で同種族で争いが起きてしまう。ましては人魔大戦ですべてを失っているのです。争いですべてを失った者たちが再度争いという選択をとるのです。」
「エルさん…」
「世界で最も不毛な時間ですよね。」
エルは俺にそう言って、モズと共に地下に戻っていった。彼女の言っていることは正しい。だが、正しいだけじゃ、駄目なのだ。戦争とはそういうものだから。




