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第二十三話 入国した時、見た景色って忘れないよな!

イートス王国に入った。入国早々、地割れがお出迎えだ。荷物は捨てる訳にはいかないから、『収納空間』にしまっておいた。地割れは国を東西に分け、東に革命派、西に国王派となっているらしい。俺は銀時を肩に乗せ、東側に向かう。比較的復興していた外壁とは裏腹に東側は全く復興していなかった。瓦礫の山にまだ、鉄の匂いもする。


「おい!止まれ。」


振り返ると、やつれた顔にボロ雑巾のようなローブに身を包む男がいた。鋭い目突きで俺を睨む。男はどんどん近づいてくる。


「何者だ…?」


まるで不良漫画だ。胸ぐらを掴まれなかっただけ良いが、顔を覗き込んできた。


「モズ、やめなさい。」


さらに後ろから澄んだ声が聞こえた。女性の声だ。その声を聞くなり、男は俺から離れ、女性の後ろに立った。


「私はエル。ここの統治をしています。随分、高位な精霊様を連れているけど、あなたは…?」


「俺はサント。こっちの猫が銀時だよ。戦後、故郷がなくなって、金竹の森を抜けてここまでたどり着いたんだ。」


「そうだったのですね。ですが、ここもあなたの安全が保証できぬところです。ほかの国を目指してみては?」


「もう体力の限界だったんだ。それに…」


俺は少し『魔王の導』を見せた。


「ひどいケガですね。できる限りの治療はしてあげたいのですが。とりあえず、立ち話もなんですし、私達の拠点へご案内します。」




案内されたのは瓦礫の中に隠れていた地下への扉だった。ここに来る途中、真っ二つになっているはずの地割れが途切れたているところがあった。あそこに倉庫があるのだろう。

地下に入ると、細長い通路にすき間なく人が座っていた。まるで防空壕ようだった。座っている人々はエルの顔を見るなり、笑顔になった。エルは微笑み返すが、少し不自然だった。通路をかなり進んだ先に扉があった。


「こちらです。」


エルは扉を空けた。そこは倉庫のように棚が並べられ、数人座れる椅子と机があった。


「適当に座っていてください。」


俺は扉に一番近い椅子に座った。エルは俺の対角の椅子に座り、モズはエルの椅子の後ろに立った。


「私はイートス王国第一王女、エル・イートスと言います。後ろにいるのが、私の護衛の王国騎士団団長のモズです。」


王女様!?それに騎士団!?


「私達は戦後訳あってこの地下空間で暮らし、民への支援を行っていますが…」


エルは空の棚を見渡した。


「そろそろ限界を迎えそうです。」


それで、あの笑みか。人々は王女からの支援、おそらく食料だろう。その食料も尽きてしまった。


「それで、ここに俺を招いた目的は?」


「すべてお見通しというわけですね。私はこの国を復興させたいんです。ですが、国王であるわが父と第一王子の兄によってその芽は絶たれてます。そんな中、父を排除しようとする革命派が現れました。私は父を止めようとしたのですが、力及ばず、王城から追放されました。」


彼女は革命派の人間ではないのか。とりあえず、革命派のトップに会いたい。その近道はおそらく彼女に協力することだろう。


「革命派の拠点はどこにあるのですか?」


「ここから地上に出で、すぐの所にあります。え〜と…、何か?」


ガグル達が国王派の調査をしているのだ。ガグルは加護モリモリだし、フィオラさんもいる。早めに動き始めないと。


「俺ができることをしようと思いまして。」


「そうですか。何かあれば私を頼ってください。」


「ありがとうございます。」


俺はそう言って部屋を出た。エルたちは配給の準備をはじめはじめただろう。俺は地上に出て、革命派と接触を試みる。



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