第二十一話 魔王の導
俺は変な犬に爪痕を体中につけられた。
『これは…。サント。これは『魔王の導』だぞ!?』
俺は突然の念話にキョトンとする。『魔王の導』か…。
『まぁ、よい。それがサントにとってどうなるかは吾輩の知ったことではない。』
銀時はフィオラさんの腕に飛び込んだ。フィオラさんは少し頬を染めて銀時を受け止めた。
金竹の森を抜け、歩くこと数時間、遂にイートス王国が見えてきた。往路で一ヶ月くらいか。
イートス王国もまた外壁があった。国を一周囲うように。復興は進んでいたが、まだ完全ではなかった。
近くに茂みもあり、自然も芽吹いてきているのだろう。
「フィオラさん…?」
フィオラさんは急に足を止めた。フードをかぶっていてよく見えないが、かなり焦っているのか。
「くる…」
何が!?足元には魔法陣のようなものが浮かんだ。次の瞬間…俺達は転移した。
「やぁ、俺の名前はギメイだ。」
偽名…?いや、ギメイか…。こんな名前があるとは。少し立ち上がるとさっきまでいた所が見えた。茂みまで飛ばされたのか。
「あなた、何のつもり?」
フィオラさんは刃をギメイに向ける。ギメイは両手をあげる。
「オレに敵意はない。オレが用があるのはおまえの運んでいる荷物だ。」
俺の荷物…!?
なんだろう…この声何処かで…
「盗むの?」
「違う。話がある。」
「それを信じるとでも…?」
フィオラさんは敵意マシマシだ。まるでラーメンのニンニクのように。
『サント。やつはガグルだ。『偽神の加護』で、存在は認知できないようにしているぞ?』
ガグル…。どうして?
あ。そっか、フィオラさんのことを…
『ガグルの方を持とう。』
銀時はフィオラさんの膝の上に乗る。いつ座ったのだろうか。フィオラさん、ガグル、俺は三角形に座った。
「フィオラさん、ギメイは信用していいと思う。」
「でも…」
俺はフィオラさんを真剣に見つめる。美人さんをこんなにマジマジと見れるのはこういう時だけだよね。
「わかった。私の荷物でもないし、あなたに任せるわ。」
「ありがとう。」
フィオラさんは我関せずモードになり、銀時の毛並みを堪能していた。猫神様にそんな気安く触っていいのだろうか。
「サント、荷物は一端捨ててくれ。」
単刀直入だな。
荷物を捨てる…?どういうことだ…。
届けに来たのに…




