第十九話 ピンチ
金竹の森を越えようとしていた。
「もうすぐ、イートスが見てきますよ。」
フィオラは俺たちを先導してくれていた。俺はいつも通り荷物を。銀時はフィオラの腕の中に抱かれていた。くっ…うらやましくなんかないんだからね。
「銀時、お前、もう少し神らしく振る舞ったら…?」
「なんだ?」
ギロッとと言う効果音が聞こえたような気がした。
「吾輩は神ではない。人間が吾輩は勝手に神と定義したのだ。」
「え…?」
フィオラは驚きのあまり、銀時をポトッと落とした。
「なんだ。フィオラも、か…」
銀時は見事に着地し、体を少し揺すった。
「お主ら、人族が定義する『神』とは何ぞや?」
哲学的な話だな。元の世界の『神』と言うと、伝承や古典だよな。あとは自然信仰とかあるよな。
「人族にとって都合が良いもの。それを人は『神』と呼ぶ。」
都合が良い…?
「吾輩は神ではなく精霊だ。だが、人族の群れに姿を現したら、人は吾輩を神と呼んだ。ただそれだけだ。」
フィオラは信じられない顔をしていた。戦神と同等に信仰していた猫神の存在が揺らいだのだろう。
銀時は俺の荷物の上に乗った。マイペースなやつだな。
金竹の森の終わりが見えた。俺達はそこに吸われるように歩いていった。
ーーー
ーーーーー
ーーーーーー世界が真っ黒になった。
「おい!おい!サント!」
うぁ!!?目を開けると俺の顔を覗き込む銀時がいた。周りと見渡すと、フィオラも倒れていた。俺はフィオラを起こす。近くで見ると、美しい銀髪が輝いていた。だが、長い耳を見ると、エルフだと分かる。
「サント…?」
「あのさぁ〜?僕はずっとここで君たちが目覚めるのを待ってたんだけど!?それを無視してさ、僕をほったらかしにするってさ、僕の時間を奪う。つまり僕の寿命を奪う。と言うことは死ねと君たちは僕に言っているのと同じだよね!!?」
小柄な男だった。黒ずくめの服に少し長めの白髪が目立つ。だが、明らかに人ではない。
『やつは魔族だ!気をつけろ!』
念話だ。いきなりやるのやめてよね…。でも、戦闘能力もない俺にドウ気をつけろと…?
「あのさぁ、あのさぁ、あのさぁ~!僕の話を聞いてたぁ?まだ、僕の話を無視するの?この五大魔人である僕を!!?」
「五大魔人ですって!!?」
フィオラは絶望したような顔で言った。
五大魔人…?
銀時が前に言っていた。ガグルが倒したと。『双剣』のマットゥーニだったっけ…?
それが目の前に…ヤバいじゃん!
『銀時!!!』
『なんだ!!?いきなり念話をするな。』
それ、お前が言う…?それよりも、だ。
『どう、すんだよ?俺達じゃ、勝てないって!』
『そんなもの…逃げる。いや、逃げれないな。この特殊な空間。閉じ込められてるな。』
つんでるな。あ、戦士の村のフィオラさんがいるじゃないか?
「フィ…」
「無理!」
即答ですか。




