第十六話 戦士の村
ルー王国を出た。停戦から一年半くらい経っただろうか。外の死体はなくなり、道もできていた。イートス王国までは戦士の村を越え、金竹の林を通る。戦士の村は人魔大戦で最も狙われた場所の一つだ。被害はバルム王国の比ではないであろう。
「人間とは不思議なものだな。壊れると分かっていながら、ものを作る。壊れるなら、最初から作らなければいいのにな…」
「銀時はわかってないねぇ。俺の故郷では無常観なんて、かっこよく呼ばれてるよ。」
「むじょうかん…?」
「永遠はないんだよ。」
銀時は俺の背負っている荷物の上から降りた。大型犬ほどの大きさになり、隣を歩く。
「本当にまた戦争が起こるのかな…」
「停戦が終われば、再び争いが起こるだろうな。」
「どうして、人と魔族は対立してるの?」
「それこそ、神のみぞ知るということだろうな。」
銀時、お前は猫神じゃなかったけ…
だいぶ東に進んだ。整備された道が途切れた。おそらくここら一体が戦士の村だったのだろう。
「あぁ…ゔぇ…」
俺は四つん這いになって嘔吐した。何も無い。だけど、確かにそこは戦士の村だったのだろう…
「おい、何をしている。ここもまたネクロ=リリエにやられたな。戦士の死体なんってな…」
なるほど…。人類の戦力が一気に魔王の戦力となる。人魔大戦に人類に勝ち目はない…
「こんな、こんな…」
「おい、行くぞ。」
銀時に促されるまま、俺は歩いた。平らで何も無い土地を。だが、確かに鉄の匂いがあった。
しばらくして、金竹の林に着いた。金竹の林と言っても金の竹が生えているわけではなかった。
「普通の竹だ…」
「はぁ…。サント、お主の無知さには拍手喝采だぞ。」
馬鹿にされてるのか…。だって、ね?この世界で育ったわけじゃないし…
「仕方がない。教えてやろう。」
アレコレ聞くこと数十分。まぁ、要約すると、伝承がどうとか。俺としては金の竹がないなら、興味はない。
なんだ…。異常なまでに静かだ。俺は咄嗟に銀時は遠くへ投げた。動物虐待とか言わないでね…?
「振り向いたら殺す。」
俺は首元に刃物をあてられ、拘束された。




