第一話 人魔大戦、末期
「軍隊は胃袋で行進する。」
〜ナポレオン・ボナパルト〜
「名言は勢いで誕生する。」
〜荒道山渡〜
え〜、オッホン。
どうも、この物語の主人公、荒道山渡です。
俺はいつの間にか異世界に転移しちゃって、いろいろあって、異世界で歩荷をしています。
うん?
俺が異世界に来た経緯だって……?
いいじゃないか〜。
そんな細かいことは〜。
エイル歴四十五年。
人と魔王軍による人魔大戦が勃発した。
両者の激しい戦争は、遂に九年目を迎える。
だが、この年、戦況は大きく動いた。
勇者ガグル一行が、魔王直属の配下の一人――双剣のマットゥーニを討ち取ったのだ。
大きな戦場となっていた樹海の深奥での出来事だった。
勇者一行の勝利により勢いづいた人間たちは、魔王軍を魔王領土の国境線まで押し返す。
そして、その戦場に――なぜか俺もいた。
マットゥーニを倒した直後の混乱の中、ガグル一行は残党に襲われていた。
俺はというと、成り行きでその場に居合わせ、あっさり背中をざっくり斬られ、意識を失ったらしい。
……いや、本当に意味が分からない。




