02 知りたい
「ごめんなさい。引っ張ってしまって」
「全然大丈夫。気にしないで」
(それより、俺が泣いていたのにびっくりした。そんなに好きだったのか?俺が女のことで泣くなんて一回しか、、)
「あのさ、、名前なんていうの?」
「みさき、です」
「そちらは?」
「ゆうや。 てかさ、LINE交換しない?」
「いや、、あ、はい。 分かりました。」
「あー 別に嫌だったらいいんだ、」
「どうぞ」
少女、みさきちゃんは静かに携帯を差し出した。まさかこんなお願いが通るなんて思ってもみなかった。
「雨、そろそろ大丈夫ですかね? それじゃあ」
「待って! 僕さ、帰る家ないんだ、」
「それは、つまり?」
「一晩でいいから泊めてくれないかな?」
「何も、しないと約束してくださるなら、どうぞ」
「それはもちろん。」
「おー お家広いね! 一人暮らしなんだ、みさきちゃんいくつなの?」
「あ、女の子に年齢聞くのは良くないね」
「19です、大学生です。」
「奇遇だね。僕も大学生。 どこ?」
「あ、あそこにある文芸大学です。」
「え!同じ! まぁ僕は最近はあんまり行ってないんだけど」
「おいくつですか?」
「21歳」
「なるほど」
「なるほどって笑」
ピロリン!
「あ、お風呂沸きました、お先、どうぞ」
「ありがとう」
〜お風呂で〜
「みさきちゃん。いい子だな。あんな変なことしてたやつを泊めてくれるし、なんせ何も俺について聞いてこない」
俺は長風呂はよくないと思ってささっと頭と体を洗って出た。
すると、リビングからいい匂いがした。
「ご飯、できました。」
「ありがとう。僕の分まで。おいしそう。」
「「いただきます」」
「うん、美味しい いつも自炊してるの?」
「はい。」
「これからどうするおつもりですか?」
「お金はバイトするしかないし、家は、、野宿?するしかないよね」
「野宿は、やめた方がいいと、思います。 そ、それならお金が貯まるまで、うちにいてもらって大丈夫、です。」
「ほんとにいいの?」
「まあ、別に大丈夫です。 それに、ここなら大学も近いですし、行きやすくなると、思います。」
「ありがとう、ご飯もおいしかった。 洗い物は僕がするよ。」
「ありがとうございます。 それじゃあ、私はお風呂に入ってきます。 洗い物が終わったら、お先に、寝ててもらって大丈夫です。」
「おやすみなさい。」
気づかなかったけど俺がお風呂に入ってる間に布団の準備もしてくれていた。久しぶりに母親のような温かさを感じた気がして目頭があつくなった。