表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

(*´▽`)ノ 雪の短編集 ლ(╹◡╹ლ)

雨がふたりをつなぐまで

作者: 松内 雪

 急に雨が降ってきた。

 いつも天気予報なんて見てないから困っちゃった。


 クラスのホームルームが終わって、ちょうど下校の時間。

 私は傘を持って来ていないから、教室に残って雨が止むのを待つことにした。


 教室の窓から外を眺めていると、他の人たちは、傘をさして帰っていく。

 みんなはちゃんと、天気予報を確認しているみたい。偉いね。


 だけど、私は偉くないから、教室で本を読んでいる。


 部活動とかに入っていれば、もっと有意義に過ごせたのかもしれないけど、入っていないんだからしょうがないよね。

 でも、雨音を聞きながら本を読む時間は、いつもより素敵に思えた。


 教室が静かになってから、何時間経ったかな。

 読書に夢中であっという間だった。


 雨音だけが、強くなっている気がする。

 これは、もしかして降り止まないやつかな?


 どうしようかなぁ。帰りたくないなぁ。

 でも、ずっと学校に残っているわけにもいかないし、暗くなったら危ないし。


 ――仕方ない。帰ろうか。

 

 雨に濡れてもいいように、教科書と本は自分のロッカーに入れておく。

 自分が濡れるだけなら、乾かせばいいもんね。


 覚悟を決めて下駄箱へ向かうと、同学年の子がそこにいた。

 顔に見覚えはないけど、上履きの色を見れば、同学年だってことは分かった。


 彼女は、下駄箱の近くに座り込んで、降りしきる雨を見つめていた。

 ……いつからここで待っているんだろう?


 私は興味本位から、声をかけたいと思った。

 だけど、そんな性格じゃないから、声をかけて貰えるように隣に座った。


 彼女はいきなり現れて、隣に座った私に戸惑った様子だった。

 だけど何も言わずに、また雨を見つめ始めてしまった。


 私も、とりあえず雨を眺めてみたけど、流石に気まずくなったから声をかけることにした。


「傘、忘れたの?」

 彼女は無言で首を横に振った。

 

 それから、何も言わずにまた雨を見つめる。 


「どうして帰らないの?」

 彼女は何も答えない。


「帰りたくないの?」

 彼女は首を縦に振った。


 私もコミュニケーションをとるのは苦手な方だけど、彼女と比べたら得意かも。

 なんて冗談は置いといて、どうやら帰りたくないってことが分かった。


 なんで帰りたくないの? って聞いてもどうせ答えないと思ったから、私は彼女の隣から動かないことにした。


 なぜかというと、たぶん寂しいだろうなって思ったから、なんとなく。


 でも、そんなに帰りたくない理由って何だろう。

 家族と喧嘩しちゃったとか? それなら私も帰りたくないかも。


 だけど、結局いつかは帰らないといけないわけで、ずっと残っているわけにもいかないよね。

 

 だから私は声をかけた。


「ねえ、一緒に帰らない? 私、傘忘れちゃってさ。一緒に入れてほしいんだよね」


 私が言うと、彼女は自分のカバンを開けて、何かを探し始めた。

 カバンから取り出したのは折り畳み傘。彼女はそれを私に渡そうとした。


 あら? 貸してくれるの? 優しいね。これで濡れずに帰れるや。

 ……なんてね、そんなことするわけないじゃん。


 この子、もしかして不思議ちゃん? 私も人のことは言えないけどさ。


「……私は一緒に帰らない? って聞いたんだけど、嫌?」

「……嫌じゃないけど、帰りたくない」


 初めて声を聴いた。相変わらず言葉が足りてないけど。

 でも、『なんで帰りたくないの?』とは絶対に言ってやらない。聞いたら負けな気がするから。


「なら、私も帰らない」

「……え? なんで?」


「だって、あなたと一緒に帰りたいって思ったから」


 彼女はきょとんとしている。きっと理由が分からないからだろう。

 でも、私にだって理由は分からない。やったね。これでお互いさまだ。


 それから二人で、しばらく雨を見つめていた。

 特に会話することもなかったけど、不思議と居心地は悪くなかった。



 辺りはすでに暗くなっていた。

 校舎の閉門時間も近づいている。


 これ以上、学校に残ることは難しそうだ。

 雨は相変わらず降り続いている。――ちょっと、強くなったかな?


 そして何より、お腹もすいた。ここに座ってどれぐらい経ったかな。

 ……まあいいや。そろそろ帰ろうか。ねえ、お隣さん?

 

「これから、どうするの?」

 隣に座る彼女に、私は聞いた。


「帰りたくない」

 彼女が答えた。


「じゃあ、どこに行こうか?」

 私が言うと、彼女は驚いた顔をしていた。


 彼女の心境を想像するに、『この人は何を言っているんだろう』とか、『この人なんで帰らないんだろう』とか、『なんで付いて来ようとしてるんだろう』なんて、思ってるのかもしれないね。


 でも、あなたが何を思っていても、伝えてくれないと分からないから、私は知らないフリをする。


「ねえ、私、お腹がすいちゃった。ちょっと付き合ってよ」

「……え?」


「ダメ?」

「駄目じゃないけど……」


「じゃあ行こうよ。まだ帰らないんでしょ?」

 私の言葉に、彼女は小さく頷いたように見えた。


 思い切って立ち上がろうとすると、足元がふらついてしまって、まだ座ったままの彼女の肩に手をついてしまった。

 思いのほか強めに触ってしまったから、ちょっと痛かったかもしれない。


「ごめん、大丈夫?」

 私が聞いたとき、彼女は顔を背けていた。ちょこっと笑っていたように見えた。


 こっちとしては恥ずかしいんだけど、笑顔が見れたから、まぁいいかな。


 そんなわけで、彼女も立ち上がろうとした。

 だけど、彼女はバランスを崩して思いっきり私に倒れ込んできた。座り込んでいたせいで足が痺れている私が、当然支えられるわけもなく、一緒に倒れてしまった。


 この状況が何だかおかしくて、私は声を出して笑ってしまった。

 その笑い声が一つだけじゃなくて、それが嬉しかった。


 ひとしきり笑って、足の痺れが取れた頃、一緒に立ち上がって校舎を出た。


 

 相変わらず、強い雨が降っている。


 折り畳み傘は一本だから、私は半分入れてもらった。

 私の肩はちょっと雨に濡れてしまっているけど、それはまったく気にならない。


 それよりも、私のせいで彼女の左肩が濡れてしまっていることが気になった。


「濡れちゃってるよね。私のせいで」

「そんなこと気にしないでいいよ」


 やっぱり優しくて良い子だなって思った。でもこれって、なんだか上から目線な考え方な気がして反省した。

 

 でも、こんな子が帰りたくないって言うんだから、やっぱり相当な理由があるんだろうなとも思った。


「ねえ、食べ物で好き嫌いとかある?」

「うーん、あんまりない」


「甘いものは好き?」

「好き」


「自己紹介とかしてなかったよね。私の名前は――」


 ……なんて話をずっとしていると、目的の場所に到着していた。


 彼女の趣味や、お互いの好きなものや嫌いなもの、最近面白かった出来事。連絡先の交換なんかもして。そんなことをしていたら、あっという間だった。

 なんだか似た者同士で、話していて心地よかったのは内緒。


「――ここはね、私のお気に入りのたい焼き屋さんなんだ」

「初めて来た。こんなところにあったんだ」


「私も友達と来るのは初めてだよ」

「良いの?」


「良いに決まってるじゃん。もしかして、嫌?」

「そんなわけないよ」


 彼女の言葉に、私は笑顔を返した。

 なんて言って返せばいいか分からなかったから、つい誤魔化しちゃっただけなんだけど。


「それでね、私のオススメは粒あんなんだけど――」

「私クリーム食べたい」


 ……この子、結構頑固だよね。

 とりあえず寒いから、私たちはお店の中に入って選ぶことにした。


 結局、彼女はクリームを選んだ。

 私は悩んだあげく、やっぱり粒あんを選んで席に着いた。


 お店の中で食べられるようになっているけど、こんな雨の中だから、お客さんは私たちだけしかいなかった。


 私はたい焼きを半分にして、彼女に渡した。

 うまく半分にできなかったから、餡が多い方を彼女にあげた。


 彼女の分も、お礼として買って渡そうとしたけど、断られちゃった。

 半分にしたやつも、最初は受け取ろうとしなかったけど、どうしても食べてほしかったから、無理やり理由をつけて渡した。


 傘に入れてくれたお礼と、ここまで付き合ってくれたお礼。

 それを言ったら、彼女はしぶしぶ受け取ってくれた。


 彼女は『お返し』と言って、クリームのやつを半分くれた。

 頭の方を渡すか、しっぽの方を渡すかで、彼女が悩んでいたのが面白かったから、しばらく眺めていた。


 ちなみにだけど、頭の方をくれた。

 そんなわけで、お互いに半分ずつ食べることになった。


 ホカホカと湯気立つあんこが、冷えた体を温めてくれる。

 優しい甘さのクリームが、疲れた体に染み渡った。


 お互い食べることに夢中になってしまったので、食べ終えてから、ようやく言葉を交わした。


「すごい美味しかった。どっちも」

「でしょ? また、一緒に来ようね。他のやつも食べたいし」


 私の誘いに、彼女は笑顔で返してくれた。

 

「どうしようね、これから」

 彼女に質問するように私は言った。


 友達と楽しい時間が過ごせて、私はとても満足なんだけど、まだ解決していない問題もあるわけで。


「……帰らなくて、大丈夫なの?」

 彼女は気遣うように聞いてきた。


「うん、大丈夫だよ。うちは親が帰ってくるの遅いから」

 なんてね。そんなことはないんだけど、置いて帰ることなんてできないでしょ。


「でも、もしかしたら帰ってるかもしれないし……この雨だから、心配するかも」

「それを言うなら、そっちはどうなのよ」


「どうなんだろうね……わかんない」

「……それでさ、そろそろ教えて貰いたいことがあったりするんだけど?」


 私の言葉の裏を察するように、彼女は口を開いた。


「あのね、聞いてくれる?」

「もちろん。私で良ければ、いくらでも」


 彼女の言葉が途切れるまで、雨が屋根を打つ中、私は静かに話を聞いていた。


 

 ――彼女が帰りたくない理由。

 

 話をまとめると、結局のところは親と喧嘩したって話だった。

 進路のことで揉めちゃったらしい。


 ありがちな理由だなって思うけど、この子にとってはそうじゃないんだろうな。

 いろんな事情があるもんね。私の家では喧嘩と仲直りが毎日みたいな感じだし。


 彼女はお料理の専門学校に行きたくて、だけど彼女の母親は、大学に行くように言ってるんだって。


 なんか贅沢な悩みだなって思うのは、私に将来の夢とか、そういうのがないからなんだろうね。


 私としてみれば、もちろん彼女の夢を応援してあげたいから、『専門学校に行くべきだよ』とか言っちゃいそうになるけど、それが正しいのか分からないし、ちょっと無責任な気がする。


 彼女のお母さんはきっと、私が思うよりもずっとずっと、彼女のことを考えていると思うから、やっぱり口を出すべきじゃないのかもしれない。


 だけどそんな私に、彼女は『どう思う?』なんて聞いてくるから、答えないわけにはいかないよね。


 ほとんど初対面だったのにね。ついさっきまでは。

 でも、この数時間でわかったことはいっぱいあるよ。


「あなたって、頑固だよね」


 予想外かもしれない返事。彼女はやっぱり驚いたようだった。

 すかさず私は言葉を続ける。


「もし私が、大学に行くべきって言ったら、大学を目指すの?」

「……たぶん、目指さないと思う」


「だよね。それなら、やること決まってるじゃん」

「……でも、怖いよ」


「怖いことなんてないよ。だってあなたの周りには、あなたのことを大切に思ってくれている人しかいないんだよ」


「……でも――」


「それでも怖いっていうなら、私が一緒にいってあげる」

「え?」


「実はね、知ってるかもだけど、私もずいぶんと頑固なんだよね。悩んでいる友達を1人にはできないし、する気もないの」


「……付いてきて、くれるの?」

「もちろん。一緒に帰ろうよ」


「……うん、一緒に、帰る」


 そしてまた、傘を分け合いながら歩き始めた。

 吹く風が冷たかったから、出来るだけ身を寄せ合って歩くことにした。

 

 傘を持つ手が重なったのは、寒かったから、なのかな。



「……ねえ、なんで私に話しかけてくれたの?」

「だって、仲間を見つけたと思ったから、興味があって」


「でも、最初は声かけてこなかったね」

「私だって、いきなり声をかけるのは勇気いるよ」


「隣に座られたとき、ビックリした」

「ならその時、声かけてくれたら良かったじゃん」


「だって、なんか変な人が来たと思ったし、正直怖かったし」

「それはひどくない? 私だって怖かったんだよ? なんか話してくれないし」


「人見知りだもん。いきなりそんな話せない」

「まあ話さなくとも、顔には出てたから色々と分かったけど」


「たとえばどんな感じ?」

「寂しいとか、どうしようとか、見てて面白かったよ」


「なんか、恥ずかしいね」

「でもさ、傘渡そうとしたのはどうかと思った。どうやって帰るつもりだったのよ」


「だって、断るのも申し訳なかったし」

「でもあの時、一緒に帰ろうって言った時は断ったよね」


「あの時は帰りたくなかったから。仕方ないでしょ」

「やっぱり頑固だよね。知ってるけど」


「それはお互いさまだよ。『私も帰らない』って言われた時は意味わからなかった」

「そう思ってくれたなら、良い勝負になったのかな」


「なんの勝負?」

「意地の張り合い。頑固比べ?」


「なにそれ」

「わからないけど、私は楽しかったよ」


「それは、そうかも」

「……だよね」


「ありがとね」

「それこそお互いさまだよ、……こちらこそ、ありがと」


 そんな話をしていたら、彼女の家の前まで着いていた。


 雨で肩も冷たくなって、水たまりでローファーも濡れちゃったけど、それでも一緒に帰れて良かったなって思えるぐらいの時間を過ごした。


 

 さて、本題はここから。

 ここまで来て、まだ悩んでしまう自分がいた。


 勢いで来ちゃったけど、どうしようか。


 夜も遅い時間だから、彼女の家にお邪魔するわけにもいかないし、だからといって、『あとは頑張って!』ってわけにもいかないよね。


 

 立派な一軒家だ。入口も外側までしっかりしてる。

 なんか、お花も植物も出迎えてくれちゃってる。初めまして、なんてね。


 ――よし、深呼吸。覚悟を決めよう。なるようになるさ。


「……これ、私が鳴らしちゃっても良い?」

「うん、お願い。ごめんね」


 私は彼女に目配せしてから、意を決してインターホンを押した。


 さあ、今の状況をどうやって説明しようか、そんなことを考えていたけど、それは余計な心配だったみたい。


 カメラが付いているタイプだったから、彼女のお母さんは、並んで立っている私たちを見て、何を聞くこともなく玄関を開けてくれた。


 タオルも用意してくれていて、『寒いから中に入りなさい』とも言ってくれた。

 私は玄関でタオルを借りた。あいさつとお礼だけして帰ることにした。


 彼女とお母さんの様子を見ていたら、私がいる必要はないなって確信できちゃったから。


 彼女はこれからお風呂に入った後で、家族と将来のことを、お互いの気持ちをしっかりと話し合うんだろうなって思ったからね。


 だから私は、傘を1本だけお借りして帰ることにした。

 意外にも家が近かったから、すぐに帰れそうだった。


 もちろん、彼女には『また明日ね』って伝えたよ。

 これで、ひとまず一件落着、って言えたら良かったんだけど……。


 ――家、入れてくれるかな、やっぱりお邪魔しとけば良かったかも?

 

 これからどうやって家に入れてもらおうかな、なんて小さな悩みがあったりね。


 

 一夜が明ける、朝が来る。授業を受けて、下校の時間。


 昨日の雨はどこへやら、すっかりと晴れているから、雨の心配はなさそうだ。

 天気予報は確認してないんだけどね。


 ――結局、昨日の夜は帰りが遅いって怒られちゃった。


 すぐに家に入れてくれたし、お風呂を沸かして待っててくれてたけど。


 晩ごはんの時に『早く帰るよりも大事なことがあったんだから仕方ないじゃん』なんて、言い訳を言ってみたけど、とにかく連絡ぐらいはしなさいよって返された。


 その通り過ぎて何も言えなかった。


 そんなこんなで今回は、私が謝ることで許してもらったのでした。

 めでたしめでたし。


 


 ――というわけで、一件落着! もう一件はどうなったかな。


 昨日とは打って変わって、今日は足早に教室を出た。


 彼女のクラスまで行くのは、ちょっと恥ずかしいから。

 やっぱり下駄箱の辺りで待っていることにした。


 少し待っていると、息を切らせた彼女がやってきた。


「もう、帰っちゃったかと思ったよ」

「ごめんごめん。ここで待ってたら会えるかなって」


「クラスまで探しに行っちゃったよ。連絡も返してくれないし」

「あれ? ほんとだ。あんまり使わないから忘れてた、ごめん」


「……それでさ、聞いてくれる? 昨日の話なんだけど」

「もちろん。私もその話が聞きたかったんだよ。一緒に帰ろうよ」


「うーん、帰りたくはない……かな」

「もしかして、……また、喧嘩したの?」


「ちょっと、だけ?」

「じゃあ、……今日はどこに行こうか」


 私がそう言うと、彼女は嬉しそうな顔をした。

 

 今日は太陽があまりにもまぶしかったから、昨日借りた傘を日傘代わりに2人で歩いた。傘を持つ手が重なったのは、寒かったからじゃなくて、つなぎたかったから。


 そして、最初の目的地はたい焼き屋さん。


 今日は違うものを食べに行きたいって言ったけど、彼女が譲らなかった。

 だけど、私も譲らないから、いろんなお店を渡り歩くことになったんだ。


 歩きながら、またいっぱいお話をした。

 それでやっぱり、頑固だなって思った。お互いに。


 ……もうちょっと、柔軟になってもいいのにね。

 たとえば、お互いにオススメのやつを選んでみる、とかね。


 まあ、毎回半分ずつにして分け合うのも、私たちらしくていいかなって思ったり。

 そう思うと嬉しくなったから、彼女にも伝えてあげることにした。


 そうしたら彼女は『これからも一緒にいてくれる?』なんて聞いてきたから、私は当然だけど『もちろん』って返した。

 

 彼女の顔を見ると、顔が赤くなっていたから間違いなく照れていたと思う。

 相変わらず顔に出やすい。

 

 だけどきっと、これもお互いさまなんだろうね。

 鏡を見なくたって、あなたの顔を見れば何となく分かる。


 

 これは恥ずかしいから、彼女にも言いたくないんだけど、これから先もずっと一緒にいるんだろうなって想像したら、もっともっと嬉しいなって思うのでした。


 


 

 ――そしてほんの数年後、私は毎日のように彼女の手料理を食べているのでした。


 その先のことだって…………、私にはまだまだ知らないことばかりなのでした。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ