文明を失う日
1月31日 日本
本日の天気は晴れ。お日様も出ますが、強い北風によって肌寒い一日となるでしょう。
テレビではニュースキャスターが元気そうに話している。ニコニコ笑顔で疲れないのだろうか。寒くないのかな。そんな思いを抱くほど、外の気温は寒い。現在朝7時半。室温はエアコンをつけた状態でなお20度を下回り、実に寒い。幸いにも、自分は部屋の中にテントを張るタイプの人間で、いい感じにその中だけは温かいのだった。
朝ご飯用に飯でも炊こうかと立ち上がると、突然、雷でもふって来たかのようにテレビから煙が上がった。
ボン!
真っ白い煙。真っ黒になる画面。
ヤバい!!
火事になる!!
そう思って急いでコンセントを引き抜いたが、それ以上何も起こらなかった。まるでサンマを焦がした時の様な何とも言えない異臭が部屋に充満している。これは有毒ガスに違いなかった。急いで窓を開けると、新鮮な空気が流れ込んでくる。その空気の冷たいこと!
その冷気に顔を顰めて部屋に引っ込むと、何とはなしに静かになったと思った。
音が無いのだ。
思えばずっと何か音のする空間で生きていたので、それが無いのが無性に怖くなる。
気が付けば、頭上のエアコンが口を開けたまま止まっていた。おかしい。コンセントは刺さっているのに、なぜ。
テレビがショートした時にブレーカーが落ちたのだろう。そう思って玄関上の配電盤を一度切り、また入れる。掃除を怠ったためか、パラパラと綿埃が舞う。
これですべては正常に戻るはずだった。
焼けたテレビが動かないのは分かる。しかし、なぜかエアコンが息をしていない。勿論生きているという意味ではなく、温風が出てこないのだ。
おかしい。そう思ってリモコンの電池を入れ替えてみるが、液晶画面にも表示は無かった。新しい電池なのに。これだって買って来たのは先月のことだ。いくら安物とは言え、液漏れするには早すぎる。エアコンが壊れ、同時にそれ用のリモコンも壊れるなんてあるだろうか?
心の中に言い知れぬ焦りが渦巻くのが分かった。
これは、普通の事態ではない。停電ではない。
震える手でスマホをとる。それを宝物のように握りしめて電源ボタンを押す。何もない時間がやけに長く感じられ、一秒が永遠のよう。爪が白くなるほど握ったが、ついに画面に何か表示されることはなかった。
充電が無いわけがない。寝る前に充電ケーブルをつないで寝たのだから。
これはただの停電ではない。この時俺はその考えに至った。




