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真説・公園の魔法使い  作者: 弐逸 玖
うつくしヶ丘高校 学生食堂横の談話スペース
28/66

契約の成立

「先程も言いました、家庭教師としての就労時は時給アップ。通常時の四割増しを経理部長として確約します」


 立ち姿で腰に手を当てるアイリスさん。改めて見るとホントにおっぱい大きいな。

 そりゃ華ちゃん、トラウマになるわ……。

「さらに今回、赤点が回避できた場合……」




 ――現金でボーナスは出せないけれど、二人のスマホを最高級グレードの最新モデルに交換してあげる。


 ――放振興会関係者との通話やメッセは無料。これは成功報酬じゃないけど契約変更は試験ウィーク明けからね。元の契約には干渉しないので、お家の方には知られないし怒られない。


 ――クロッカスと桜ちゃん、南光君やアヤメの間だったら一晩喋ってもただってことよ? お得じゃない?


 ――別に通信データや通話記録は、料金精算以外で監視したりはしないからそこは安心してね。


 ――ココから成功報酬ね。もちろんデータは、何にどう使おうが使い放題にしてあげる。


 ――さらに今回は、高級本革カバー付き。その他、ネットで評価ナンバーワンの三電源+大容量バッテリー搭載のマルチ急速充電器、更には市場価格約三万円の超高級無線ヘッドフォン、画面手描きメモ用のスタイラスペンがセットです!


 ――そしてそれらを全て収納出来るシックで機能的な本革ポーチも付いてきます! 男の子が持っててもカッコイイヤツなの。ベルトに下げたりしてね、ちょっと最近、流行りつつある感じなんだけどさ。


 ――カードなんかもしまうとこがあって便利なの。私も持ってる、ほらコレ。雑誌とかで見たこと、無い?


 ――しかもポーチに入れた状態で買い物もできるし電車にも乗れる、超便利!




 テレビショッピングなのか!

 ……おぉ。とか言って拍手したら良いの?


「簡単に計算してみたが……」

 仁史が耳打ちしてくる。

「スマホとその他、一組で二〇万超えてるぞ」

 ……マジか!


 流石事務屋さんのトップ、その辺は経費でどうにか出来るらしいが。

 ただ、これは簡単に返事しちゃいけない様な気が……。


「桜、条件が良すぎるぞ、これは相当ヤバい仕事だ」

 お互いの顔を見て頷く。

 二人共、意見が一致した。




「どう? ……あれ? あ、そうそう。直接の成功報酬としては電子マネーで五千円、結果が出た次の日に私の名前で直接スマホの方に入れます。ご家族に知られない現金は、これ結構、おいしくない?」

「いやあの……」


「まだダメ? ……むぅ、しょうが無い、なら。会長には内緒で成功報酬上乗せ、ネットのミュージックギフトポイントお一人様一万円分も付けちゃう! これなら新しいスマホにアルバムダウンロードしても痛くない! これでどうよ!?」 


「それは……」

「ならさらに、通販ポイント一万五千円分! ゲームで気兼ねなくガチャが回せる! 面白スタンプもオシャレなシャツも買えちゃう! もうこれでなんとか、……ホントお願い!」

 アイリスさんが顔の前で両手を合わせて、こちらを拝むようにする。


「……なぁ?」

「……まぁ、ねぇ」

 私だって、仁史だって、華ちゃんの困る顔を見たくはないのだけど。


「良かった……。塾なんて話にならないし、普通の家庭教師に見せるわけにも行かないし、どうしようかと思ってたの。ありがとう二人共」


「でも失敗しちゃった場合には……」

「その時は一緒に徹夜で書類作るの付き合ってね。……うふ」

 冗談じゃ無い! 今すぐ断わって……。


「二人共、協力を感謝するわ。とにかく!」

 突如姿勢を良くしたアイリスさんは、またもサッと金色の髪を払うと、急に本部長の顔になって事務的な口調で告げる。


「今回の任務の目標は、クロッカスの試験が主要全教科全てで41点以上になること。カンニングは不可、魔法の行使も不味いけど、それ以外ヤマを張ろうが、丸暗記させようが何でも良い、方法は担当各位に任せます。ともかくも、あなた方の任務は、クロッカスの赤点を回避すること。以上。……Do you understand?」


 その透き通った青い瞳に見つめられると、もう答えは一つしか無い。

「イエス、マム!」

 またも仁史と返事が揃った。

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