Chapter0 開幕
Scene1
私は人形が大好きである。アンティークドール、ビスクドール、SDなどなど言い出したらキリがない。飾り立てるのも大好きだ。そしてそれらに囲まれて過ごす、、、最高だろ?
上記のことを食い気味に友人に語ったらマニア通り越してマジキチ、ドール狂いと言われた。非常に解せない。失礼じゃないか、、、ちょっとノリノリで特徴やらなんやらを細かく喋っただけだろ。ウィキばりに。
そんなドールキチガイ(意訳)と言われた私は当然のごとく人形収集が趣味で、量が多いから置き場所に困ったどうしようという話になって、祖母が手付かずの家をくれた。
それでもらった家の1階部分を博物館の展示室みたく親の助けも借りて改築して、展示会を期間限定で開催してみたところ割受けがよく、鑑定士の人達とかドール制作に関わっている人達は特に顕著だった。主にテンションが。子供たちはキャッキャしてた。可愛い。泣いた子いたが。
ドールを売ってくれないかという声が上がったが自分が苦労して集めたものを手離したくないからお断りさせてもらった。当然残念がられたしごねられもしたが。是が非でもあげません。
消耗品以外で同じモノを2つも買いたくないというこだわりもあるが。
Scene2
商店街を抜けたやや外れた住宅街の一角に人形の展示をしている店があり、名前は"ドールハウスユートピア"、営業時間は平日14時から17時、土日祝が10時から17時半、入館料は基本とらず、外部の人形劇団や人形師がパフォーマンスをする際に観賞料と賃貸料をとる程度だ。
あとグッズ販売。金は落とさせるもの。
「こじんまりとしてるかと思ったけど結構広かったですね先輩」
「そうだろ?初めて見た時驚いたからな俺も」
「配置が物凄く上手くて驚きました。所狭しと並べてると思っていたのでほら、あるじゃないですか和歌山の人形供養の神社…
「トラウマどころが生気取られる場所の話はやめろ。やめなさい」
どうやら先輩は行ったことがあるらしい。こっち向いて真顔で言うのやめてください。はっきりいって怖い。瞳孔開いてませんか?怖い…
ドールハウスから会社に戻ると、社内がいつもと違いあわだだしく騒がしい。
どうしたのかと聞けば、以前から開発していた多元式のAOTサポートドールの試作品が完成したという。
「それで名前のことと、あと…―――」
Scene3
ドールハウスを経営し始めてから約半年。客足はそう多くはないものの、常連客がつくようになったりオーダーメイドができるようにしてみたり――
「オーナー!ブリュのビスクはどこに置けばいいですか?」
「左側の奥の水色の椅子の上」
「了解です」
従業員が入るようにもなった。人件費高いんだよな。オーダーメイドやら人形師からの賃貸料なんとかやれているから問題は無い。
オーダーメイドはドールの服を中心に、既に型紙通りにカットされた布をミシン等で縫い合わせるだけの簡単な作業である。たまに被服科の専門生がバイトで練習とばかりにしてくれたことがあるが。
サイズ?ピンキリ。SDからマネキン。
常連客が増えるのは大いに結構なんだが妙な客、というか影のない客が夕方過ぎに多い気がする。霊障はないみたいだから問題にはならない、というのはバイトの白草君の話である。
人でなしですらわざわざ来るのか。そのうち付喪神になるのが出てくる…!?
西洋のが中心だから命を吹き込まれる方か?ピグマリオンみたく。あれは石像だったけど。