プロローグ それはきっと
恋はきっと人間だけのものではないのだろう。
犬や猫だってきっと恋をするのだろうし、恋をするための条件に人間だということは入っていないように思う。
だから、きっと、彼女たち異形にも恋をする権利はあるのだ。
それは誰も侵害していはいけないものであり、どんな形でさえ尊いもの。
これから紡がれるのは、普通ではない彼女たちの普通の恋物語。
叶うならば、結末はハッピーエンドでありますように。
〇
炎っていうのはわかりやすく魅力的だ。
例えば蝋燭の炎。暗い部屋で見つめていると思わずぼーっと見てしまったり。例えば創作の世界。アニメや漫画の世界でも主人公が炎の能力者だったり。
そしてまた、それと同じぐらい恐ろしいものでもある。感じ方は人それぞれなのだろうけど、僕は炎をとても綺麗なものだと思っている。
目の前でゆらゆらと揺らめく炎は一種の芸術のようにも思えてくるのだ。言っていることが放火魔みたいではあるが。
だから人は炎に魅了される。
世の中の炎が排泄物のような見た目だった場合、ここまで魅了されることはないだろうと思う。まあ、そんなイカれた例えは置いておいて。
そもそもだ。僕が言いたいことは何か、というと…。
「あなたに、手伝ってほしいことがあるの」
頭が燃えてる火だるま女が目の前にいた場合はその考えも変わるという話だ。
よろしくお願いします。