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出会い ~愁~


恋は病みたいなもので

愛は意思を持って貫くものだと思う


俺はできることなら

その病にずっと犯され続けたい

そんなふうに思っていた


不器用で

優しくて

誤解されやすく

傷つきやすい

でもまっすぐに

歩き続ける

そんなヤツ




公立中学に入学して

2ヶ月、

中学生活にも慣れてきた


「付き合ってくれないかな?」


俺を呼び出して恥ずかしそうに

西村(にしむら) (かおり)はそう言った


「え?なんで?」


シンプルな疑問だった

小学校から一緒の西村は女子のグループでも

目立つタイプで

美人ではないけれど愛嬌がある

男子からの人気も高かった

けれど

男女の仲になるほどの交流もない


「なんでって、そんなの、決まってるじゃない」

横にいる吉江(よしえ)が口を挟む


(そもそも告白が2対1っておかしくないか)


「ごめん、気持ち嬉しいけど、

 俺そういうのいいわ、めんどくさい」


断るときはきっぱりと断った方がいいと

兄貴が言っていた

だから俺はいつもきっぱりと断ることに

決めている


「手島、あんたサイテー」


そういう吉江を横目に部活に向かうことにした

西村は少し泣いているように見えた



部活には先に

ミチシゲがついていて

にやにやと俺の方を見ている


「なんだよ?」

「なんだよじゃねーよ

 どーすんの?西村サン♪」


どうもこうもきっぱり断ったと話すと

ミチシゲはもったいないと言った

男子からも人気で、スタイルも性格もいいと

評判らしい


「なんで断ったの?」


理由はいたってシンプルだった


「おれはロングヘアーで

 性格の悪い女がタイプだから」


西村はショートカットだった。


当時俺の好きだった漫画のヒロインが

ロングヘアーで性格が悪かった。

ただそれだけのことだった。



「へえ、、、

 だったらさ、1組の高里ってこ、

 知ってる?」


「だれ?」


どうやら違う区域の小学校から来た

らしくあまり情報はないらしい


「青山先輩が目つけてるらしい

 俺と同じクラスのロングヘアーの女子

 なんか女子が移動教室誘っても

 無視したらしくて、クラスで浮いてるけど」


ミチシゲは情報通だ

二枚目で性格もよく、おまけに勉強も出来る

器用なヤツだ


「聞いてる?」

「わり、全然聞いてなかったわ」


「でも、見てみたいな

 その高里ってこ」

「じゃー明日俺のクラス来いよ」



次の日、2時間目と3時間目の間

1組に行ったが

その子はまだ登校してなかった


「(残念だったな)」


ミチシゲがにやけながらささやいた


その次の日、

珍しく寝坊した俺は2時間目に

間に合うかどうかのタイミングで

小走りに学校に向かった


遠くに一人の生徒が歩いている

小柄で、細く、髪の長い生徒が

気だるそうに歩いている


「高里!」

なんとなく直感でそう思った

自然に足が駆け足になり

その女子生徒を追いかける


追い付いたのは学校の渡り廊下

気づいたら声をかけていたが、

何て声をかけたのかはあまり覚えていない


気づくと驚いた顔で

女子生徒は振り向いた


はっきりした顔立ちに

大きな目に小さな鼻

間違いない、高里だと思った


警戒心まるだしの彼女に

ひたすら話しかけまくり

タイプだと彼女に言った。


彼女はお前みたいな人はタイプじゃないと

はっきり言ったけど

俺にとっては100点の答えだった


今までにない不思議な気持ちを

夏の暑さのなか

自分の中に感じた

興味深いと、その時は思っていた


それからの数日は

なにが好きで

なにを言ったら怒るのか

どんなはなしで笑うのか

とか、そんなことばかり考えていた


何度か見かけたり

話しかけたりしたけれど

彼女との距離が縮まることはなく

1学期があっけなく終わった


夏休みは部活や友達とぼ遊びの予定が

つまってるが

どこかで、彼女に会えるような

そんな期待を抱いていた



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