8話 影
「ぎぁぁあああああ!!!!!!
死ぬぬぬぬぬぬううううう!!!」
今、稔たちは地上から約300mぐらいの高さから急降下している。その落下スピードは1回目のあの速さより、さらに速い。
稔の腕を掴んでいる白髪の女の子がそうしている。
なぜなら……
ジャンプの最高地点より少しだけ落下していた時に遡るーーーーーー。
「ほっ……良かった…今度はゆっくりみたいで…」
稔はほっと安心していた。
1回目のあまりにも死にそうになった落下の仕方を学習してのか、落下スピードは落ちていた。
といっても、稔にとっては、なかなか速いスピードだ。
「さすがにあれはちょっとだけ、やり過ぎたわ…
ごめんなさい。」
と、白髪の女の子は少し落ち込み気味で反省していた。
反省しているのはいいのだが、あんな人間離れしている行動が、ちょっとだけの事で済ましている辺り、もう稔も怒る気にもならなかった。
「はぁ…けど…なんだ…その…さっき飛ぶ前に言ってた直感ってなんだ?」
と、稔は跳ぶ前から少し気になっていたことを質問してみた。
「………………」
えええええっっーーーーー。
もしかしてスルーされちゃった?
うわ、マジか…ショック……
などと、稔はこんなことを思っていたが、
「……………?」
「お、おーい?もしもし?」
白髪の女の子の表情がさっきから固まってしまっているのに稔は気づいた。
「……しょ。……とが……しまっ……」
白髪の女の子は1人ボソボソと何か言っている。
「い、今なんて?」
稔も聞き取れなかったぐらいの小声で、何か言っていた。
そして、次の瞬間。
「おおっっ!!ちちちょょょっっ!!!
いいいいいきなりりり!!!
速い速い速い速い速いいいいい!!!」
いきなり、白髪の女の子は稔に何も言わずに落下スピードを上げて、落下し始めた。
そして現在ーーーーーー。
稔たちは、地上まで200mを切っている。
学校が見え、グランドが見え、黒いカタマリがあるのも、確認できる。
やはり、こちらが落ちてきているのがわかっているのか、あまりハッキリは見えないが上空を見ているような気がする…。
などと、白髪の女の子と違って稔は同然こんなこと思う余裕もなく、
「ぎぁぁあああああ!!」
絶叫アトラクションに乗っているかのように悲鳴を上げ、失神するのも時間の問題だった。
白髪の女の子は着地後の戦闘にそなえ、背中に背負っておいていた剣を稔を掴んでいる逆の手で取り出し、構えた。
そしてーーーーーー。
ドーーーーーーーーーーン。
そのままの勢いでカゲ人間がいる位置から50mくらい離れている位置に2人は着地した。
といっても、稔は失神してしまっていて、着地と同時に倒れてしまった。
白髪の女の子はそんな稔に目もくれずにスッと掴んでいた手を離して、
じっと見つめていた。
その瞳には2つのカゲの奥に、もう1つ。
影があった。
「よかった…間に合って…今、助けるからね」