16話 幼女
結局、稔は寝る場所を探したがそれといったところはなく、取り敢えず妥協してソファで寝ることにした。
ソファで寝ることはあまりなく寝れるか心配だった稔だが、横になり目を閉じていたら、こくんといとも簡単に眠りに落ちてしまった。
流石に疲れていたのか、なかなか眠りに落ちるまで時間のかかる稔だが、眠りに落ちてすぐにイビキまでかいてしまっていた。
そして、今は午前3時。
スヤスヤと無邪気な寝顔で寝ていた稔だったが、
「………………?」
突然、腹部辺りから違和感を感じた。最初はあまり気にしなかったが次第にその違和感がだんだん重くなってきた。
「ぐぅ…………お、おもい。」
まるで人が自分の腹に乗っているような感覚がして、稔は恐る恐る目を開けた。そこには、
「んにゃ……。んにゃ……。」
なんとも可愛らしい長い薄緑色の髪をした見るからに5歳児だとすぐわかる、白いワンピースきた幼女がスヤスヤと寝ているわけではないか。
「…………えっ?いや……。……え?」
正体不明の幼女がこうして、寝ている状況。
稔の頭は一瞬で眠気が吹っ飛び、色々な思考が次々と浮かび上がってくる。
え、なにこの子。てか、この飛行船にいたの!?超怖い。え、マジ、なに!?もしかして、あれか。幽霊の一種のなにかか!?やだ、怖い。
不気味に思い稔はそっとその幼女をどかそうしたその時、
「離れちゃいやっ……。」
「えっ!……ね、寝言か…。」
その幼女はまるで稔の行動がわかっているのかのような寝言を言った。
その寝言にびっくりした稔だったが、しゃねーなと思い幼女をそのままにして、自分も眠りにつくとした。
が、当然寝れるわけでもなく、ゆな達が起きてくるまで稔は一睡も出来なかったのは言うまでもなかった。
「……おはよ~。」
稔にとっては待ち望んでいた、朝がやって来た。
「あれ?稔起きてたんだ。おはよ~。」
そう挨拶してきたのはゆなだった。
「おはよ。ちょっと悪いけどこの子…。」
ゆなはまだ眠たそうに瞼を擦りながら、稔の腹部にいる幼女をみた。
「ああ…。シゲさんね。この子らシゲさんって言うの。凄く頭がいいの。だけど寝たら、そうね。起きるまで半日以上下手したら1日かかるわよ。」
「マジですか…。」
「ちなみに寝ている場所から起きるまで一切離れないからね。」
「…マジ…です…か。」
と、稔も寝れなかったのも限界に来てのか突然の睡魔に襲われて、寝てしまった。
「はあ…。しょうがないね。…風邪引くわよ。」
そう言ってゆなはソファの端にキレイに畳められていた毛布を取り出して、そっと稔とその腹部にいる幼女に毛布をかけてあげた。
こうして、またとても濃い1日が始まるのであった。