10話 謎の空間
「………………?」
「……ここは?……」
1人の少女がいた。
なにもない、ただ真っ黒いその空間の中、少女だけが、1人いた。
少女は周りを見渡した。
「…………なにもみえない………」
少女は、不安でいっぱいだったが周りを少し歩くことにした。
一応、歩けるようになってるみたいだが、全くこの空間のこともわからないし、だいたい自分が何者だったのも、少し曖昧な記憶しかない。
10分ぐらい歩き続けただろうか。
ふと、少女の足が止まった。
「………………?」
「…………あれは?………」
少女が見ている先には、ただなにも見えなくて、真っ黒いだけのだったはずの空間に、ハッキリと今1人の後ろ姿が見えた。
もしかしたら、なにか知っているかもしれないと思った少女は恐る恐るその後ろ姿に近づいった。
途中、少女はなにか少し見覚えがある後ろ姿がと気づき、その少し見覚えがある後ろ姿へと走った。
が、少女は"誰の"後ろ姿なのか気づき、立ち止まってしまった。
その後ろ姿は自分の力だけでは見ることは出来ない上に、決して存在してはいけない後ろ姿。そして、正面から見た姿だったら毎日必ず1回は見ている確信がある。
そう。
その後ろ姿とは…………
「………なんで…?………もう1人いるの…?…………………………………………………
………………………………………………………………………………………………………私が。」
少女は恐怖で震えながらそう言った。
その言葉が聞こえたのか、その後ろ姿が振り向こうした瞬間。少女の周り全てが光りだし、少女は思わず目を閉じた。
そして、目を開けるとそこには、黒髪の少年と、白髪の少女が自分を見ていた。
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「幼なじみだったらなおさら、早く治してあげなくちゃね」
白髪のの女の子はカゲ病にかかっている少女を見ながら心配そうに稔に言った。
稔も単純に心配だったみたいで、すでに胸ポケットから、円型のペンダントを取り出して、先端にあるスイッチを押した。ペンダントはほんのりと、光り始め次第にペンダント全体が緑色の光を出した。
「うわ~……。この光…なにか癒される光ね…」
白髪の女の子は興味津々にペンダントと、それから出ている緑色の光を見た。
「えっ?まさか、このペンダント知らないのか?」
そう言って稔はペンダントを咲希の方へと近づけた。
「え?そうだけど…どうして?」
「どうしてもなにも法律知らないのか?」
「ホウリツ?」
稔はペンダントから出ている光を咲希に当て続けながら、
「法律できまってんの。まぁ詳しくは知らねーがな。このペンダントを常に持つのは義務なの。」
「へ、へぇ~。そ、そーなんだ…」
「なにその心当たりでもありそうないいかた…。まぁ、それよりそろそろ目を覚ますぞ。」
「え!ホント!?よかった…
あっ、そうだった。最後にあなたの名前教えてもらってもいいかな?」
「……オレの名前は佐藤稔。学生やってます。」
「そう…ありがと。」
白髪の女の子の問いかけに稔は少しなにか違和感を感じたが、白髪の女の子がお礼を言ったと同時に、咲希がゆっくりと目を覚ました。
「起きたか。」
「ここは……?」
咲希はゆっくりと稔を見て、そして周りを見た。
「ここは学校でお前はカゲ病にかかっていた。」
稔は咲希を見ながらゆっくりと話した。
「といっても、オレが知っているのはここまでだ。後は、この女の子が教えてくれるよ。」
そう言って稔は隣にいた、白髪の女の子を指した。
白髪の女の子は立ち上がり、
「そうね…。ひとまず続きは船でしましょ。」
白髪の女の子がそう言ったら、急に空がまた暗くなった。
稔は多少焦ったがすぐにこれは何かの影だと気づき上を見上げた。
見上げた先には急に空が暗くなった原因でもある物凄くバカデカイ白い飛行船が宙を泳いでいたーーーーーーーー。