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プロローグ『絶望のなか』
「ハァ…ハァ……クソっ」
少年は汗をながしならがら、死に物狂いで道無き道を走っていた。服はボロボロで体中傷だらけだ。
それでも少年は懸命に走っていた。
少年以外は人はいなく、建物はほぼ崩壊していて、道路も所々道がない。
ドーン…。どこかで、火がガスに引火して爆発した音。
街は火の海になってしまっている。
「これは夢だ。絶対夢なんだ…」
と、少年は自分に言い聞かせ、瓦礫の山を登っていた。頂上付近まで登り少年は周りを見渡した。
学校が崩壊していて、いつも活気のある商店街は瓦礫の山になっていて、面影すらなかった。
少年は絶句していた。
生まれ育ったこの街が、もう街じゃなかったからだ。
「………………ッ。」
少年はとっさにさっきまで、自分が走ってきたところを振り向いた。
「何故、オレのいる場所がわかるんだ!………カゲ人間!」
と、少年は言って瓦礫の山を降り、また走り始めた。否、逃げ始めた。
そして、少年がさっきまで振り向いていた先には、人の影のような黒い生物が、歩いてきていたーーーーーーーー。