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第八十八話 ダウト

「一」

「二」

「三」

「四」

「五」

「ダウト」

「……ちっ!」

「はい浜ちゃんがトランプ回収」

 水泳部でのトランプ、今日はダウトをやっている。ダウトとは、初めに手札をやる人数で分けて、一から十三までの数字のトランプを裏にして続けて出していくゲーム。手札にその数字のトランプがない場合や、あっても出したくない場合は、ダウト)をついて違うトランプを出してもいい。ただし、他のプレイヤーが嘘だと見破り、「ダウト」と言ってそのカードを表にした場合、それまで出していたトランプは嘘をついた人の手札に加わる。もし「ダウト」と言って、そのトランプの数字が出した人が言った数字と同じ時には、「ダウト」と言ったプレイヤーにそれまで出していたトランプがいく。いまいちよくわからないならウィキペディアででも調べてみることをお薦めする。なかなかに戦略性が必要な知的遊戯で、はまる……かどうかは個人差があるが、知っておいて損はない。


「みんな嘘つきすぎだろ。二しかあってないじゃん」

「そこら辺が面白いんだろ?「ダウト」と言って外れたらリスクが重い。かといって日和見では他の人が上がってしまう。その辺の兼ね合いが勝利のポイントだろう」

「浜ちゃんは表情に出すぎ」

「嘘なんてついてないよっていう態度があやしさ満点なんだよな」

「正直者だと言ってくれ。俺は嘘が嫌いなんだ。みんな、正々堂々とやろうぜ!」

「ゲームが成立しないだろ」

 ルールまで書き換えるつもりか。

「そ……それに引き替え、田村の無表情さは有利だな」

 嘘をついたのかが見破れん。洞察力不足か?しかし。

「人はそれをポーカーフェイスと言ってもてはやすのだよ」

「無表情キャラは萌えるもんねー」

「全面的に同意する」

 何を言っているかさっぱりわからんよ、二次元アホ二人。萌えるとか日常生活で使うなよ。周りにいる俺まで変なやつだと思われるじゃないか。

「……手遅れ」

「ぐさ」

「現実から目を背けるなよみっちゃん」

「どすっ」

「もう誰もみっちゃんが平凡な性格だとは思ってないって」

「どっごーん」

「……義人。いかにも俺の心の中のダメージの描写のようにアフレコするな」

「ダメージは受けてないのー?」

「……致命傷クラスだよ」

 傷つくことには傷つくんだよ、俺の繊細な心は。……みんな俺のことを誤解している。おれほどまともな人間はいないのに。

「ダウト」

 やかましいわ。

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