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第八十六話 休み

 毎日登校して、補講や部活までやっているので忘れがちだが、今は夏休みである。本来、毎日自由に過ごせるはずの夏休みである。

「……それなのに久し振りの休みに感じるなあ……」

 今日は部活も補講もない、本当に自由な休日だ。悲しいことだが、めったにないことでもあるので、駅前に繰り出すことにした。俺の趣味、古本屋めぐりをするためである。無料ただで本(小説、漫画などを含む)がたくさん読めるんだから、なんて効率的な趣味なんだろうか。……さみしいやつだとか言うなよ!憐れんだ目で見るなよ!



 ……で、駅前にきたわけだが。

「人、多っ!」

 豊橋は都会ほど人が多くはないらしいが、豊橋からほとんど出たことのない俺にとって、駅前の人の多さは反則である。レッドカードである。早くも「やっぱりうちが一番だわ」という旅行帰りのおばさんのセリフが出そうなほど疲れてしまった。帰ろうかな……。

「おいおいねーちゃん、可愛いじゃねえか。ちょっと付き合えよ」

「やめてください!」

 BOOK OFFに行くか、帰って不貞寝するかを思案していたところ、前近代的なセリフが聞こえてきた。こんなことを未だに言う馬鹿がこの世界に存在していたとは。話の種になりそうだ。ぜひ見てみよう。

「いいじゃねえか。暇なんだろう?」

「……大声出しますよ!」

 なんというベタな展開なんだろうか。面白すぎて笑いをこらえられん。さて、どんなアホ面をした男かなっと……。

「…………」

「…………」

「…………」

「……何やってんだ清水、保護者」

「……三井がなんでここに?」

「先輩!お久しぶりです!助けに来てくれたんですか!?」

「……まさかあんなアホなセリフを吐いていたのがお前だったとは……」

「三井はその子と知り合いなのか?それなら紹介してくれ」

「先輩はその社会の屑と知り合いなんですか?」

「社会の屑!?」

「残念ながらその社会の屑とはクラスメイトなんだ」

「三井まで!?」

「ところで先輩、保護者って呼ばないでください」

「ああ。善処するよ保護者」

「善処する気ゼロじゃないですか」

「なんでその子が保護者なんだ?」

「後輩とかの面倒見がよかったから」

「何紹介してるんですか先輩。そんな核廃棄物に」

「核廃棄物!?」

「紹介くらい構わんだろ。その核廃棄物は悪いやつではないし。脳まで筋肉なのが玉に瑕ではあるが」

「三井、お前らの言い方にトリカブトなみの毒があるのは気のせいか」

「……で、帰っていいか」

 ここまで変な空気になったのはどうしてだろう。

「せっかくですから一緒に遊びましょうよ!」

「なら俺と……」

「うるさいですこの盛り豚」

「俺は疲れたから帰る。盛り豚とでも遊んでやれ」

「……君たち、いい加減俺は泣くよ?」

 


 それからいろいろあった結果、三人で遊ぶことになり、清水の金でゲーセン三昧。清水は泣いていた。泣くくらいなら止めればいいのに、女子大好き人間の思考はよくわからん。



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