表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/103

第七十三話 モチベーション

 梅雨も明け、気温も上がり、絶好の水泳日和。県大会も近く、部員のモチベーションは最高潮だ。

「夏だ!」

「プールだ!」

「水泳だ!」

「大会だ!」

「覚悟ーっ!」

「貴様!叩っ切ってくれる!!」

「初めてですよ……私をここまで馬鹿にしたおバカさんたちは……」

「愛よ!」

「勇気よ!」

「希望よ!!」

「ホーリーアップ!」

「ぶっ殺す!」

 ……モチベーションの上がる方向が間違っていることは置いておこう。とりあえず。

「覚悟って何を覚悟すればいいの!?叩っ切るって誰を!?お前はフリーザか!?愛よ!勇気よ!希望よ!って赤ずきんチャチャじゃねーか!!ホーリーアップすんな!誰と戦うつもりだ!?水泳で殺しは不味すぎるから!!」

 ……ふう、すっきりした。


 北高水泳部は、燃えている。ここ数年、決して越えられなかった壁。県大会団体の部での入賞。それが、ある一名が入部したことで現実味を帯びてきた。その男の名は―浜口信也。中学時代、愛知県大会にて最優秀選手賞を受賞した、一年にして最速のエース。

「祭りじゃ!祭りじゃ!」

「うるさい!他の部に迷惑だからやめい!!」

 そこで踊っているのを見ては信じられないが、間違いなくこの大会のキーマンだ。頑張れ。



「何をふざけとるお前ら!練習を始める!!」

 おお、さすが小倉さん。鶴の一言でみんなが黙った。踊ってる連中も動きを止めた。残念ながら、両手を上げて振り向くという不気味なポーズで怪しさ満点だ。

「余裕のようだな……わかった」

 何がわかったんですか。

「今日は短距離練習を行う!!五十メートルベスト(マイナス)二秒が出るまで帰らせん!!」

「「「うぎゃあああぁぁぁ!!!!」」」

 鬼!!悪魔!!ヤクザ顔!!無駄筋肉達磨!!……と心の中で悪態をついてみる。まあ、でも俺は県大会でないし。別にいいんだけどね。俺はタイム計測と声出しだけやらせてもらおう。

「旦那……お前もやれよ」

 声が怖いですよ、義人君。

「後で私のフォースで消し去ってくれる……」

 石井、なんでジェダイモードだと声が間延びしないんだよ。いつもそうしろ。あと消し去るって、どう考えてもやりすぎだろ。やっかみくらいでなぜ消されんといかん。

「…………死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね…………」

 田村(こえ)えええぇぇぇ!!!!!



 大会前だというのに、部員は相当量を泳がされたのだった。そして、俺は嫉妬を一身に浴びるのだった。ガクガクブルブル。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「ええじゃないか」に投票   ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ