表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/103

第六十五話 差

 ついに来た。来てしまった。高校初の公式戦。そして俺のタイムでは県大会には出場できないので、新人戦までは当分ない、一年で二度しか出ることのできない公式戦である。

「狙うは自己ベストの更新だ」

「旦那、もっと望みは高く持とうぜ」

「そうだよー、もっと高く持とうよー」

 お前たち泳ぐのが速い変人と、凡人である俺を一緒にするな。

「……で、お前らの具体的な目標は?」

「県大会出場だ」

「義人のタイムなら楽勝だろ。確か200バタフライ(にバタ)は二分四十秒以内だよな」

「俺のベストが二分三十五秒だからな。疲れはあるが何とかなるだろ」

 小倉さんが「北高の目標は東三大会ではない。県、東海大会だ」などと言って、調整練習をさせなかったため、疲れがたまっている。やめてほしいものだ。

「なら石井の目標は?」

「完泳+力尽きないこと、だよー」

「それ高い目標!?」

 まあ石井にとっては死活問題なのだろうが。



「いいか、全員自己ベストの更新を目指せ。バテている状態で実力を発揮できてこそ、本番でもいつもの力が発揮できる」

 俺にとってはこれが本番なんですが。何度も言うようだが、やたらハイスペックな皆さんと凡人の俺を同列に扱わないでほしい。

「東三大会二位の確保は至上命題だ。ベストを尽くせ」

「「「はい!」」」

 俺は戦力にはならんが頑張ろう。応援くらいしかできんが。


「ところで先輩、どうして東三大会二位・・が目標なんですか?一位狙わなくてもいいんですか?」

「……世の中にはできることとできないことがあるんだよ」

「…………?」

「まあ最初の種目……メドレーリレーか……を見ればわかる」

「そうですか。うちも相当早いと思いますけど」

 一年二人(浜口、片山)が加入したメドレーリレーは、県大会標準記録(これを上回れば県大会に出られる)を余裕で突破している。引き継ぎでミスがなければ、間違いなく県出場なほど速い。

「……見ればわかる」

「わかりました。見てみましょう」



「メドレーリレー一位、豊玉高校。なお、この記録は東三大会、県大会を含め新記録です」

「……なるほど。格が違いますね」

「なにせ去年全国三位だからな……」

 北高のメンバーも県標準記録を悠々突破し、見事二位だったのだが、それでも豊玉高校とはかなりの差が開いた。何なのあれ?反則じゃない?

「速すぎでしょう」

「全国から選手を集めてるからな」

 巨人か。傭兵集団ておい。

「先輩、一言いっていいですか?」

「いいぞ」

「……豊玉高校は東三河から出て行け」

 切に望む。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「ええじゃないか」に投票   ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ