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第六十四話 料理

 今日は家庭課の授業で調理実習。メニューはハンバーグという定番料理だ。俺は日頃、料理をしないため、あまり包丁さばきなどがよくない。しかし今日に限っては、そんなことを気にする心配は全くない。

「おい旦那、仕込みは終わったから鍋見ててくれ!焦げ付かないようにな!」

 ……俺の班には料理の鉄人がいるからだ。



「おい暇な女子!皿出すとか、調理器具片付けるとかしとけ!」

「……はーい」

 義人は親が家庭科の先生をしている影響で、子供の頃に料理洗濯など、家事を片っぱしから叩き込まれたらしい。その料理の腕前は、味覚があまり発達していない俺ですら、一味違うとわからせるほどだ。義人はこういう様々なところでハイスペックを見せるから困る。ただのアホだと言いきれなくなるし。

「よし旦那!デミグラスソースは俺がかき混ぜるから、ハンバーグの方を見ててくれ!」

 その料理の鉄人がいるおかげで、俺はほとんど作業をしていない。無駄に凝った料理にしようとして、他の班より作業工程が圧倒的に多いはずなのだが。調理実習でデミグラスソースを作るってどうよ?それなのに他の班よりずっと進んでる。……まあ一つの班が大変なことになっているようだが、視界に入れないようにしよう。都合の悪いものは見ない。これがこの学校で平穏に過ごすコツだ。ここ、重要だから覚えておくように。

「ああっ!少し焦げてるし!何やってたんだよ!」

 そんなこと言われても困る。俺は十六年近く生きてきたが、そんなソースを煮込んだ経験なんてない。他の班員たちも戸惑ってるだろ。熱血しないでくれ。



 ……で、完成品。

「……なんですか、これは……?……おいしい……」

 家庭科の先生(新米)絶句。そりゃあそうだろうな。途中、三班のフライパンから火が出て(清水らが「フランベってかっこいいよな!やろうぜ!」とか言って料理酒を注いだ結果大惨事に)、始末に追われてたからな。作業を見ていない状態で、突然こんなものが出てきたら驚きもするだろう。三班の作品の試食は、拷問にしか見えなかったし。

「……三班との評価でできた差はどうすればいいんだろう……?」

 先生も大変だな。同情するよ。



 一方鉄人は。

「……五十点だ。焦げ付いて野菜の風味が消えてる」

 ……自分に厳しいな。普段からそうしろ。

 

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