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第五十話 名誉会員

 前期クラスマッチ一日目は無事終わり、俺たちはクラスでHRホームルームを受けていた。クラスマッチであろうとHRと掃除は欠かさない。北高の美化担当谷川先生(柔道黒帯所有)の圧力がかかっているという噂もあるが。

「……ではこれでHRを終わります。かいさ」

「センセー、今日センセーは一日、何してたんですかー?」

 今日一日クラスマッチの間、健三さんを見かけた人がいないのである。朝、開会式で変なことをして以来行方知れず。応援にも全く姿を見せなかった。

「今日は図書室で読書をしていましたよ」

 ……は?

「……確か今日はすべての棟が封鎖されていたはずじゃ……?」

「教師ですから」

 ……教師なら自分のクラスの応援にくらい来てください。

「今日も暑かったですしね」

 それが理由で!?

「スポーツに興味ありませんし」

 生徒の活動には興味持ってくれ!

「ぶっちゃけた話、生徒の活動にも興味ありませんし」

 言っちゃった!言っちゃったよこの教師!!

「だから図書室で優雅に読書ターイムです」

 のばすな。……あれ?でも待てよ?

「司書の上村さん(図書館の主。女性。おそらく北高で最も良識派。一ヶ月に五十冊もの本を読むということ以外は普通の人)は外で俺たち(主に図書委員)の応援をしてましたよ?」

 上村さんはいい人だ。しっかりしてるし、鍵のかけ忘れなどもないだろう。会ったとき「図書館は閉めてある」とか言ってたのに、健三さんはどうやって図書室に入ったんだ?

「ああ、私図書室の鍵持ってますから」

 ……なんだって?

「名誉会員ですからね」

 ……そういえばこの人、国語の教師だったな。忘れがちだけど。

「以前、何度かつまらない会議を抜け出して図書室で読書してたら、上村さんがくれたんですよ。先生、そんなに本が好きならいつでもいらしてください、だそうです」

 ……上村さん、この人にそんなものあげたら仕事しなくなるでしょうに……。それよりも、会議サボってよく何ともならないな。

「センセー、会議サボって罰とか受けないんですかー?」

 そうだ。減俸くらいあってしかるべきだ。

「私は校長が学校外で講演するときの台本を書いてあげてますからね。そのおかげで演説がうまいと言われてるから、いまさら私にへそ曲げられて書かない、なんて言われたら困るでしょうね」

 …………。

「……先生、それって要するに……」

 ……脅迫?

「ギブアンドテイクですよ。それでは解散」



「センセー、明日は応援に来てくれますよね?」

「断る!」

 断言した!!

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