表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/103

第四十九話 暇

 ソフトの試合は明日までないので、調整は各自でやることとなった。清水ー深谷のバッテリーは嫌がる深谷を無理やり連れて、投球練習を行っていた。深谷、アーメン。

 俺としてはやることもなく、かといって浜ちゃんのように部室に行って<エロ大魔王>(大富豪の発展版。うちの水泳部名物)をやる気分でもない。どうしたものか……。

「なら三井ー、ドッヂの応援に行ったらー?」

「……あれ、俺何か言ってたか?」

「うんー、つぶやいてたよー」

 しまった。独り言なんて怪しい人の代名詞みたいなものじゃないか。この学校に来て毒されている気がしないでもない。気をつけよう。

「……で、ドッヂは今から試合か?」

「そうだよー、二回戦でー、相手は二年八組ー」

「じゃあ応援しに行くか。ちなみに義人どうしてるか知ってるか?」

「杉田なら部室で寝てるよー」

「そりゃあれだけ動きまわればな……ただでさえあいつ十時半には寝るのに」

「さあ応援に行こうー」

「はいはい」



 試合会場の第二グラウンドに行くと、すでに試合は始まっていた。序盤ではあるが一年七組が優勢のようだ。

「おーい、三井連れてきたよー」

「誰に言ってるんだ?」

「いいからいいからー」

 そう言って石井はどこかへと消えていった。石井の行動は謎が多いからな。いちいち相手してても無駄だ。よって気にしないことにする。せっかくなので隣の大林(剣道部。車、鉄道マニア)に尋ねてみる。

「うちのクラスでドッヂ強いのは誰だ?」

「……知らないの?」

「ああ」

「威張ることではないな」

「いいから教えてくれ」

「……藤村さんと菅原さん。どっちもハンド部で肩がいいよ」

「なるほどな……で、どれがその藤村さんと菅原さん?」

「……クラスメイトだろ、覚えてないのか……?」

「ああ。勿論」

「威張るなよ」

 それでも大林は教えてくれた。

「ふむふむ。ライセンスのでっかい人に似ているのが藤村さん。カサゴ(海産の硬骨魚。棘が強い。美味)に似ているのが菅原さんだな」

「……言い得て妙だが、他の言い方はないのか……?」

「ない。俺はこれから、心の中であの二人を<ライセンス>と<カサゴ>と呼ぶであろう」

「……ごめんなさい、二人とも」

「大林が謝ることじゃないよ」

「……お前が謝ることだ」

 

 試合は見事一年七組<凍傷の唇>が勝利。戦利品として<なんだかよさげなあだ名>を手に入れた。

「ほんとごめんなさい、二人とも」

「大林が謝ることじゃないよ」

「……だから三井が謝ることだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「ええじゃないか」に投票   ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ