第四話 部活
「旦那、部活見に行くぞ!」
「声がでかい。まあいい、行くか」
というわけで、俺たちは部活を見に行くことにした。
「でも、プールってどこにあるんだ?」
俺たちが入学してから三日が過ぎたが、プールを見かけた記憶がない。
「屋上にでもあるのか?」
「いや、この校舎二階までの階段しかないぞ」
「なら敷地が広いからどこにあるかわからんな……」
この学校は無駄に広く、一、二、三年の校舎、職員室や図書室のある校舎、火を扱う家庭課室や実験室のある校舎、視聴覚室など電気を使う校舎と校舎だけで六棟ある。それに加え体育館や購買、グラウンドが二つに変な森まであるのだから驚きだ。
「適当に探すか?迷子になるかもしれんが」
「健三さんにでも聞くか」
職員室に行って聞くと、
「あっちです」
と言って指さした。その方向には別の教室しか見えない。
「……あの、具体的には……?」
「あっちです」
「教室しか見えないんですけど……」
「あっちです」
「もういいです。ありがとうございました」
職員室をはなれて義人と相談した。
「あれじゃ場所がわからんが…どうする?」
「とりあえずその方向に歩いてみるか」
そうして障害物をかわしながら歩くこと十分弱。
「ようやく見つかった……」
この十分は道に迷ったのではなく、単純に距離がそれくらいだったのである。遠っ!そして広っ!!
意を決して入ると、すでに先輩が五人、一年が四人いた。
「あれ、三井も水泳部?」
三井は俺の名字である。三井→財閥ということで義人は旦那と呼んでいる。俺と三井財閥は全く関係ないのだが。
「浜口と石井もか」
この二人は同じクラスである。浜口は例の全国レベルの自由形、石井は県大会に出場したバタフライということだった。義人も俺もバタフライだが、義人も県大会に出場しているので、俺だけが地区大会レベルだった。……俺だって地区の新人戦では二位だったのだが……、ほんとにレベル高いな、この学校。
数日後、先生に登録用紙を出しにいった。……頭にヤのつく自由業の方にしか見えない、筋骨隆々とした体育教師が顧問だった。
……キャラの濃い人はもう勘弁してください……。