第四十一話 意見
「来週には中間テスト、それが終わればクラスマッチがあります」
帰りのHRでは、今日の健三さんの連絡が終わろうとしていた。
「そのクラスマッチには、クラスユニフォームでの参加が認められます。その詳細についてはHR会長、後で皆さんに説明してください。さようなら」
そう言って職員室へと帰って行った。この説明も本来担任の仕事ではないかと思うのだが、それについては突っ込むまい。何しろ健三さんなのだ。
「では代わって説明します」
HR会長も動じず、いつものように代わりを務めていた。……不憫だ。
その不憫なHR会長の話によると、クラスユニフォームというのは、クラスマッチ、文化祭、体育祭などで使用する、Tシャツなどの服だそうだ。遠目からでも学年とクラスがわかるようにと考案され、デザインは自分たちで考えるらしい。
「抽選の結果、私たちのクラスユニフォームの色は紫色となりました」
また毒々しい色だな、おい。
「デザインの案は何かありますか?」
紫か……難しいな。紫陽花とかそういうのか?
「ファンタのグレープの缶をイメージしたやつとか」
「インパクトが足りないですね」
確かに、インパクトは必要だよな。
「ならこれはどうだ?」
「はい、杉田君どうぞ」
誰かと思えば義人か。何かいい案でもあるのか?
「それはだな……」
ふむふむ。
「<血を流したピッコロ>だ!!」
インパクト!!っていうかグロいわ!!
「候補にしておきましょう」
いいのか!?それでいいのか!?
「ほかに意見はありますか?」
「ポケモンのベトベターはどうだ」
「ゲンガーも捨てがたい」
「いっそのこと工場の廃棄水にしたらいいんじゃないか」
お前らにまともに考えるという選択肢はないのか。
「旦那、俺たちはいつでも真面目だぜ」
なおさら悪いわ。
その後の会議で、何とか<血を流したピッコロ>ではなく<バイキンマン>をデザインとすることに決まった。……著作権とかの問題はいいのだろうか……?
クラス会議も終わり、部活に行くと、テスト前だというのに大量に泳がされた。息も絶え絶えになりながらも完泳すると、小倉さんの話が待っていた。
「これからテストになるが、毎日一・五キロは泳ぐように」
「……テスト週間は原則部活禁止なんですけど……」
「気にするな。生徒指導部長は俺だからなんとでも誤魔化せる」
……大人ってずるい。
「