表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/103

第三十九話 命名

「だんな、舌で嘗めろ」

「みついー、踏みつけろー」

「だんな、噛みつけ」

「みついー、暴れろー」

「だんな、毒ガスだ」

「みついー、悪あがきだー」


「……お前ら、ポケモンに人の名前つけるな!!」



 今日は石井の家に義人と二人招待された。石井には兄弟姉妹がいないらしく、近くに年の離れた従弟(小学校低学年)がいて、時々遊びに来るくらいだそうだ。

 ……こいつの近くにいると変な菌が感染するから、近くに寄らせないほうがいいと提言すべきだろうか。


「何でだよ、別にいいじゃん」

「そうだよー、減るもんじゃないしー」

「俺の精神が磨り減るわ!特に義人!何でベトベトンに<だんな>なんてつけるんだ!?俺のどこが毒だって言うんだ!?」

「毒舌」

「…………」

 旨いと思ってしまった俺は負けたのだろうか?

「それにベトベトンだけじゃないしな」

「……なんだって?」

 ゲームの画面を覗き込むと、そこには<だんなA><だんなB><だんなC>……といったように<だんな>の文字が組み込まれていた六体が縦一列に並んでいた。……シュールだ。

「毒ポケモンとかギャラドスとか嫌な感じのやつばっかりだな……」

「それはあれだ、旦那。旦那のイメージ」

 実に嫌なイメージを持たれていたものだ。まあ俺がポケモンに<義人>と名づけるとしたら、筆頭候補はメタモンだが。謎な感じが正にそっくりだ。対抗馬はアンノーンといったところか。

「石井も石井だ。バンギラスなんかに俺の名前をつけるんじゃない」

「えー」

 えーじゃねえよ。悪っぽさ満載じゃねえか。しかも一体一体微妙に名前を変えるな。何だよ<ミツーイ>とか<ミーツイー>って。他のに紛れこませたらわかんなくなるような名前じゃねえか。

「まあいいや、イッシー、第二ラウンドは旦那なしでいくぜ」

「いいよー、かかってきなさいー」

「行けっ、<アヤノA>っ!」

「まてや」

 綾乃とは義人のお姉さんの名前である。

「お前今度は姉シリーズか?」

「ああそうだ」

 画面に映っているのはカビゴンである。初期ポケモンでは最重量として名をはせた、素早さの遅い眠ってばかりのポケモンの。それ以外にはカイリキー(力が馬鹿強いポケモン)やルージェラ(悪魔のキッスを使う気持ち悪いポケモン)などがいた。

「……知られたら怒られるんじゃないか……?」

「うるさいぞ、旦那。ゲーム内くらい使役者トレーナーになってもいいじゃないか!現実であれだけこき使われてるんだ。罰は当たらないだろう」

「……天罰は下らないだろうが、人災に襲われないことは祈ってやる」

 もちろん義人のお姉さん(柔道有段者。かなりの重量級らしい)による人災である。

「スギ、がんばれー」

 対戦相手の石井にも慰められていた。姉の話をする俺たちは、人の目にはよほど可哀想に映るようだ。……実際悲しいし。



 後日、義人のお姉さんが帰省した時に発覚して、義人が心と体に癒しきれない傷痕を残されることとなるが、それは又別の話である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「ええじゃないか」に投票   ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ