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第三話 教師たち

 実力テストも終わり、ついに高校の授業が始まる。北高は授業が六十分で一時間で、国語は現代文と古文、数学は数学I、IIと数学A、Bというように、教科でも科目ごとに教師が違うそうだ。記念すべき初授業は古典らしい。

「ぐっもーにんえぶりわん」

 ……繰り返すが、古典らしい。



 一限 古典


「ぐっもーにんえぶりわん。一年間古典を教える、担任の山本健三です」

 そういえば、担任なのに三日目になるまでフルネームを言ってなかったな、この人。朝と帰りに連絡事項を伝えただけで。

「将来私立大学の理系に進む人には、古典がいらない人もいるでしょう。その人はテキトーにしてていいです」

 おい。

「まあ、テストで追試があるので一夜漬けでも何でもしてください。成績もテストでつけるので、点を取れる人は寝てくださって結構です」

 それでいいのか高校教師。

「ただ授業妨害だけはしないでください。した人はあることないこと吹き込んで停学にするかもしれません」

 無表情に恐ろしいこといってるな、この人。

「蟹座です」

 その情報に意味はあるのだろうか。

「教科書の五ページを開いてください。この文章は千百年ごろに……」

 唐突に授業が始まった。教え方は上手かった。


 二限 数学I


「いいかー、公式は覚えるだけじゃ駄目だ、意味をしっかり確認して……」

 数学Iの先生は佐藤先生という早口の先生だった。少し頭髪が残念だ。

「根本的に……」

「加速度的に……」

「なあ旦那、たまに入る言葉の意味がわからんのだが」

 気にするな。俺もだ。


 三限 英語Rリーダー


「しょうでしゅねー、これはー、」

 この先生滑舌悪いな。

「To my surprise,I've gradually become more motivated.……でしゅねー」

 何で英語になった途端滑らかになるんだ。


 昼休み


「その春巻きもらったー!!」

「うるさい」

「ぐはぁっ!」


 四限 日本史


「つまり、日本史史上最大の人物は石原莞爾であり、彼は日本の将来をほぼ完全に予言するという卓越した頭脳を持っており……」

 マイナーな人物をそんなに熱心に語られても。俺は石原莞爾(世界最終戦争論を唱えた軍人)好きだが。


 五限 化学


 教師は不思議な呪文を唱えた。俺は睡魔を誘われた。俺は寝た。

「おい旦那。現実逃避するな」

 何も聞こえない何も聞こえない何も聞こえない。

「そんなに嫌わなくても……」

 うるさい。化学なんて人間のやることじゃない。



 授業後。

「教師も濃いな……」

「なんか俺も疲れたよ……」

 これが毎日あるのか…。三年間俺の自我はもつのだろうか…。

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