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第三十八話 水泳部と二つ名

 今日も今日とて悪夢のようなトレーニング(泳ぐ距離は二キロから三・五キロにまでアップ。それプラス筋トレ)を終えた俺たち水泳部一年一同は、部室で<エロ大魔王>(大富豪の強化バージョン。詳しくは第二十九話)をしながら談笑していた。



松田「そう言えばクラスマッチ何出る?」

片山「俺はバスケかな」

田村「……俺も」

浜口「俺も」

石井「僕もだなー」

杉田「俺もだ」

おれ「俺はソフトだ」

松田「……ということは、水泳部はバスケ五人にソフト二人か」


 松ちゃんもソフトらしい。男子単独の種目はバスケ、ソフト、バドミントンの三つ。それと男女混合のバレーなので、男が出場できるのは四種目ということになる。その中の二種目しか出ないというのは結構偏ってるかもしれない。


片山「ならあれは?あの二つ名みたいなやつ」

おれ「……言わないとダメか?」

杉田「旦那、なんでそんなに悲しみにあふれているんだ?」

石井「どうせ後でわかることだよねー」

おれ「……そうだな」

松田「で、みっちゃんのは何てやつ?」

おれ「……<珍獣使い(ツッコミ)>」


 クラスメイトは俺のことを何だと思ってるんだ。……いや、ツッコミと思ってるのか。この学校ツッコミの人数が少なすぎる。ところ構わずボケまくってる奴が多すぎるし。


杉田「でも珍獣使いってどういう意味だろうな」

石井「ねー。ツッコミはまだわかるけどー」


 杉田(珍獣その一)と石井(珍獣その二)がごちゃごちゃ言ってた。

 ……俺って友達選びが下手なのだろうか。


おれ「……それよりお前らは?マサとかは?」

片山「俺?俺は<笑顔の侵入者スマイリーインベーダー>だって。ほら、PGポイントガードやるから」


 いつも笑顔を絶やさず、バスケ(水泳部でたまにやる)ではドリブルで敵陣に切り込む片山らしい二つ名だな。……なんで俺とこんなに差があるんだ。訴えたい。


松田「タムは?」

田村「……<沈黙の狩猟者(サイレントハンター)>。SGシューティングガードやるからな」


 ……静かに外から三点シュート(スリーポイント)を狙い打つ。……かっこいい。なんだこの不公平さ。この学校での過ごし方に問題があったのか?田村みたく周りで何か起きても無視すればよかったのか?


杉田「俺なんて<純粋な悪魔(イノセントデビル)>だぜ。かっこいいだろ」

石井「僕は<混沌の天使(カオシックエンジェル)>だって―。なかなかいいよねー」


 とにかくわけのわからない、矛盾した存在だと認識されているわけだ。うん、それは間違いない。十年義人と一緒にいても、未だに行動がつかみきれんからね。


松田「俺は捕手キャッチャーやるから<守備の要ディフェンシングポイント>だってさ。芸がないよな。もっと考えてくれてもいいのに」

おれ「ふざけるな!考えられた揚句「いいの思いついた」とか言われて<珍獣使い>にさせられた俺の気持ちがわかるか!?その時満場一致で賛成しやがったクラスメイトに憎悪を覚えるよりずっとましだろう!?」

松田「……すまなかったから落ち着け。そしてドンマイ」

おれ「……ちくしょう……」


 慰めないでくれ。余計につらくなる。


杉田「浜ちゃんずっと静かだけどどうした?」

田村「……何て二つ名だ……?」

浜口「……言わないとダメか……?」

おれ「聞かないでやってくれ」

松田「何で?」


 それは、ある意味では俺のより悲惨だからだ。


石井「別にいいじゃんー。どうせ後でわかることだしー」

浜口「……武士の情けだ、頼む……」

石井「僕武士じゃないしー」


 そういう意味じゃねえよ。


石井「浜ちゃんのはー」

松田「浜ちゃんのは?」

石井「<驚異的な胸筋(ナイスバスト)>だよー」

全員「…………」


 浜口信也。全国レベルの自由形フリー泳者であり、その極度に発達した胸筋(・・・・・・・・・)による水を掻く力は東海でも入賞できるレベルにある。胸筋がすごすぎて下手な女子よりも胸があるというから驚きだ。

 ……まさかそれに関連した二つ名がつくとは思いもよらなかっただろうな……。


田村「……ちょっといいか」

全員「なんだ?」

田村「……みっちゃんのクラスだけ競技と関係ない二つ名ばっかりだな」



 …………確かに。




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