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第三十七話 朝練

 開催まで二週間に迫ったクラスマッチのため、俺たちソフトボールのメンバーは朝練をすることとなった。キャプテンになった清水の気合いは尋常ではなく、朝練に不参加の者にはペナルティを与えるとまで言いだした。


〜回想〜


「お前ら、朝練やるぞ!」

「……まだいいだろ」

「……やりたい人だけやればいいじゃん」

 やる気のない俺と原君(なんか気が合うようになった)が反対する。

「いや、全員参加だ。出なかった奴はペナルティありだ」

「……どんな?」

 たいていの罰なら甘んじて受けよう。金がかかるのはやめてほしいが。

「出なかった奴は幼女趣味だと言いふらす」

「「謹んで参加させていただきます」」

 


 そんでもって朝練の集合時刻。男子十一名全員がグラウンドに集合していた。

「よーし、全員揃ってるな」

 清水の声が誰もいないグラウンドに響く。

「なあ、ちょっといいか」

 一言だけ、どうしても言わなければ納得ができない。というかツッコミ待ちだとしか思えない。あり得ないだろこんな状況。

「なんだ、三井?」

「朝五時集合は早すぎだ馬鹿野郎!!」

 始発ですら動いていないこの状況で全人参加できてるのはどう考えてもあり得ない。

「三井、突っ込むなら提案した時に言うべきだろ」

「原君、こういうものは集まってから言うのがルールなんだよ」

「……どんなルールだ……」

 まあそれはどうでもいい。朝練参加を強制された時点で、俺の発言権などあってなきが如しだったのだから。

「……で、電車通学の奴らはどうやって来たんだ?」

「清水んちに泊まった」

 馬鹿だ、生粋の馬鹿たちがここにいる。朝練にそこまでかけて何になる。

「……外泊は校則違反だろ……」

 原君、ナイスツッコミ。いいかげんこの人数を俺一人でさばくのにはうんざりしてきたところだ。ツッコミの援軍は何人いてもありがたい。

「ルールってのは、破るためにあるんだよ!」

 そんなダメなことを堂々と言われても。

「……もういいや、どうでも」

「原君!?あきらめちゃ駄目だ!いつかこの人たちだってわかってくれる!今は努力ツッコミを続けることが大事だ!あきらめたらそこで試合終了だ!」

「……スラムダンクか」

「その調子だ!俺も頑張るから原君も頑張れ!」

「……その頑張りが報われたことはあるのか……?」

「……どういうことだ?」

「……杉田」

「……努力すればいつかきっと変わってくれるさ……。……ただ十年くらい一緒にいて、まだ目立った成果は出ていないというだけで……」

 あれ、どうしてだろう。雨が降ってきたぞ?俺の目のあたりだけ集中的に。

「……頑張れ」

「……ありがとう」

 それしか言えなかった。

「守備練習始めるぞ!各自の守備位置ポジションに付け!」

 非常な無気力感に襲われる中、守備練習が始まった。

「これ取れなかったら<スク水フェチ>だと言いふらす!」

「うおりゃああぁぁぁ!」

 ……ペナルティありだからみんな死に物狂いだな……。



 三時間に及ぶ特訓が終わりを告げた時、全員くたくたになっていた。その結果、朝練参加者の九名(俺と原君以外全員)が授業中に爆睡していた。……学生の本分は勉学だろうが。せめて起きていようとする努力はしろ。枕を学校に持ってくるなよ。 

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