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第三十六話 体力テスト

「今日は体力テストだな、旦那」

「そうだな」

「今年はA判定取れるといいな」

「ああ」

 去年までの俺の体力テストの判定(A〜Eの五段階判定)はB、B、C、D、C、Bと一度もA判定を取ったことがない。義人は何回かA判定を取っているので、高校生の間にその身体能力の差をすこしでも埋めておきたいところだ。

「でも今年の旦那ならA判定になるだろ」

「……そうだな……」

 頭に浮かぶのは小倉さんに筋トレをさせられた日々。これで能力値が下がっているわけがないだろう。というかむしろ、これで下がっていたら小倉さんを訴えたい。それほど四月は入念に鍛えられたのだ。

「……クラスごとに並んで、クラスの最初の競技に……」

 スピーカーから学年放送が流れてきた。俺たちはまず外の競技からやるらしい。

「さあ頑張るか」

「怪我だけはしたくないな」

「……こんな行事消えてなくなればいいのに……」

「学年トップの成績取るぞ!」

 みなそれぞれに感想を述べながら運動場へ出ていく。……感想バラバラだな、おい。



「最初はハンドボール投げだな、旦那」

「いきなり俺の得意競技だ」

 小学生の時ソフトボールをした経験をなめてはいけない。これでもチームでは強肩を誇っていたのだ。

「うおりゃああぁぁぁ!」

「三井、記録三十四メートル」

「こんなもんか」

 うむ、なかなかの好成績。そう自画自賛したのも束の間。

「うわー、清水四十メートル超えたぞ」

「今度は深谷だ。四十二メートルだ」

 ……あいつらの身体能力はどうなっとるんだ。

「おい、宇都宮さん女子なのに四十メートルだぞ」

 ……この学校何かがおかしい。いや、いまさらだけど。



「旦那、五十メートル走だ」

「全力疾走せんとな」

 結果、俺の記録は七秒ジャスト。全国平均七秒四。北高平均六秒八。なんでやねん。



「体育館での最初の競技は反復横とびだな」

「これはバスケ部有利だろ」

 そんなことなかった。ミニバス経験者もこの学校の生徒には多いらしい。

「……動きが速くて気持ち悪い……」

 気持ち悪いやつの中には義人と石井も入っている。

 ……普段の素行のことじゃないよ?



「握力測定だ。旦那、これで最後か?」

「そうだな」

 ほかにもあったが都合上省略。何の都合かは聞かないでくれ。

「ふおりゃああぁぁ!」

「三井、右四十キロ、左三十七キロ」

 全国平均は両手の平均で四十二キロ。……憐みの目で見るな。水泳に握力は必要ないんだ……たぶん。




 そんでもって最終結果。

「旦那、どうだった?」

「ついにA判定だ。これで運動も平凡だとは言わせんぞ」

「俺もAだったよ」

「よかったな」

 めでたしめでたし。





 ……とここで終わらないのが北高である。

 後日譚。全員の結果と自分の学年順位が発表された。

「……何でA判定なのに学年順位が男子百六十人中百十一位なんだよ……」

「ドンマイ、旦那」

 しかも内わけがさらにひどかった。


 A判定 百二十四人

 B判定   十五人

 C判定    零人ゼロ

 D判定    八人

 E判定   十三人


「……C判定が普通だろ!零人ゼロってどういうことだよ!A判定多っ!極端にもほどがあるだろ!ありえねえ!」

「旦那、落ち着け。事実だからしょうがない」

「落ち着けるかぁー!」

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