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第三十五話 結婚

「結婚というのは、何なんでしょうね」

 授業中、健三さんが語りだした。もっとも、授業を脱線するのはいつものことなのだが。

「結婚で大切なことは何だと思いますか?では清水」

 清水か。何て答えるのだろうか。

「愛です!愛!誰か俺にも愛を!!」

 即答か。相も変わらず暑苦しい。

「ふっ」

 鼻で笑った!?

「若いですね……若い、若すぎる。あまりにも青臭くて、ついつばを吐きそうになりましたよ」

 おい高校教師。その態度は問題ありすぎだろ。

「別の人に聞きましょう。原。あなたの意見は?」

 真面目で獣医志望な原君だ。きっといいことを言うだろう。

「経済力です」

 リアルすぎるよ!

「何事も金です」

 獣医目指す人間がそれでいいのか!?

「いい答えです」

 認めちゃった!この教師認めちゃったよ!!

「しかしまあ年長者として金がすべてという考えは変えさせなければなりませんね」

 そうだよな。年上としてビシッと言ってやってください。

「金以外にも大切なことはたくさんあります」

 それは?

「だらだらと過ごす時間とか」

 …………。

「仕事をやっているように見せかけてサボるすべとか」

 おい。

「校長とかの長話を聞き流して別のことをする技術とか」

 人はこのような人物を駄目人間と呼ぶのではなかろうか。

「などなど大切なことは数多くあるのです。わかりましたか原君」

 仮にも教える立場でそんなこと言っていいのか?

「目から鱗が落ちました」

 原君!?

「先生の言うとおりです」

 目を覚ませ原君!その鱗は人として落としてはいけない大切なものだ!!

「では本題に戻りましょう」

 ……本題?……結婚で大切なことか。

「結婚で大切なのは結婚相手の古典の教養です」

 ……なぜに?

「古来から女性は男性を立てるものとされてきたからです」

 男尊女卑だな。いいのかそれで。

「だから男子諸君は古典の教養をもった女性と結婚しなさい。女子は逆です」

 なるほど。それを言いたかったのか。

「センセー、センセーはそうしたんですか?」

 健三さん自身はどうなんだろう。

「はい。古典の教養をもっている人と結婚しましたよ」

 健三さんの体験談だったのか。

「それで今どうですか?」

 きっと今幸せなんだろう。

「残念ながら結婚してからの私は邪険に扱われています」

 ……駄目じゃん。

「やはり今の時代にはそぐわないのでしょうね」

 今日の話、全面的に無駄かよ!!

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