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第三十二話 委員会

 俺は図書委員会に所属している。北高では委員会や係など何かの仕事を一人一つやらなくてはならないので、読書好き(歴史小説から推理小説、ライトノベルから新書まで何でもこなす。悪く言えば雑食)な俺としてはなかなかの選択だ。図書委員会には俺と同じような読書好きが多く集まるに違いない。そして読書好きに悪い人はいないだろう。この論理から導き出される答えは一つ。そう、図書委員会にはまともな人が集まるだろうということだ!

「ついに北高内に安息の場所ができるんだ……」

 初の図書委員会の集まりがあると聞かされた時、俺は思わずそう呟いていた。連絡をしていたHRホームルーム会長(健三さん(たんにん)は会長に連絡を押し付け、職員室で休憩中ティータイム)が怪訝な顔で俺を見ていたが気にしない。俺に安息の地ができるのだ。そんなことは些細な問題だ。

「三井君って時々変になるよね」

「やっぱりあの杉田君と石井君の仲間だもんね」

 ……こんな声が聞こえても気にしない。目から塩分の混じった水が出てきてるのも、きっと些細な問題だ。がんばれ、俺。昼休みまでの辛抱だ。




 そして昼休み。俺は図書室にいた。図書委員に眼鏡をかけた人が多いのは、きっと本を読みすぎて目が悪くなったひとが多いからだろう。

「では第一回図書委員会を始めます。最初の議題は図書委員一年の仕事の分担です……」

 この後、仕事の分担を進めていったのだが、それは実にスムーズに進んだ。俺は月曜日にカウンター当番(図書の貸し出しと回収)と新聞記事の切り抜きをすることになった。やはり俺の思った通りだ。図書委員会にはまともな人ばかりなんだ……!


「では次の議題です。<BLEACHブリーチ>の<日番谷ひつがや>君を好きになるのはショタコンに当たるかどうかです。本日のメインの議題となるので真剣に考えてください」

 ……なんでやねん。


「ねえねえ、それってどういう意味?」

 隣の人が俺に尋ねてきた。……この人はまともな人だろうか。どんどん人を信じられなくなっていく自分が怖い。

「ショタコンっていうのは男の子を偏愛すること。BLEACHはジャンプの漫画で、日番谷っていうのは長い年月生きてるけど見た目は子供な死神のことだ」

「へー、漫画とかくわしくないから知らなかったよ」

 ……ジャンプの漫画を知らないくらいだ。俺はこの人をまともな人だと信じてもいいのかもしれない。

「俺、三井。お前の名前は?」

「細貝だよ」

「図書当番いつ?」

「月曜日だよ」

「なら俺と一緒の曜日だな。一緒にがんばろう」

「よろしくね」

「メールのアドレス教えてもらえるか?」

「いいよ。そっちもちょうだい」

「わかった」

 そう言って二人とも携帯を取り出したのだが、細貝の携帯に張ってあるシールが気になった。……どこかで見たことのあるマークだ。この高校に入ってから鍛えられた嫌な予感レーダーが警報を鳴らしている。聞いてはいけない。恐ろしいことが起きてしまう……。

「なあ、そのマークって何だっけ?」

 それでも問わずにはいられない性格(義人には<天性の突っ込み体質>と呼ばれている)が今は非常に恨めしい。そんな俺の葛藤を知らず、細貝は何の悪意もない表情でこう告げた。


「<ネルフ>だよ」


 <ネルフ>

 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する特務機関。正体不明の敵・使徒を殲滅する目的の組織であり、職員の役職は軍の階級制で統制されている。おもて向きは国連に属する団体であるが、実際にはゼーレの下部に位置する組織である。 〜はてなダイアリーより抜粋〜


「……携帯につけるくらいだ。エヴァオタか?」

「ネルフに将来入隊できればいいのにね」



 ……前略、母さん。なんか俺はもう人が信じられなくなりそうです。


今日は作者の卒業式です。ごたごたして投稿できないと困るので朝早くの投稿です。三年間いろいろあったなあ……感慨深いものがあります。卒業してもこの作品は続けていくので、感想、評価をいただけるとうれしいです。

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