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第二十六話 新歓

 水泳部の先輩方が新加入の一年のために歓迎会を開いてくれる。スケジュールとしては、ボーリングをして、めしを食べて、カラオケをするというシンプルなものだ。俺が集合場所のボーリング場に着いたとき、先輩が三人いるだけで一年が一人もいないという困った状況だった。気まずいことこの上ない。

「ああ、三井か。杉田は一緒じゃないのか?」

「……俺はあいつの飼育係でも保護者でもありませんよ……」

「似たようなもんだろ」

 それでいいのか。



 その後少しずつメンバーが集まってきた。最後は義人だった。

「では全員揃ったところで始めるか」

 ガヤガヤとみんなで賛成の意思表示をしたところでボーリングが始まった。



「何でこんなに高得点が多いんだ……」

 俺のアベレージ100をあざ笑うかのように、他の面々は高得点を連発していた。特に原先輩(自由形フリーで県大会に出場、絞り込まれた肉体を持っている。三年)に至っては、スピードボールでストライクやターキーを出しまくり、200点オーバーをたたき出した。

 ……あなたが神か?


  食事の前に時間が余ったので、ゲーセンで時間をつぶそうということになったのだが、また部員の変な一面を見つけてしまった。

「くらえっ!」

「はやっ!」

 などと声を出しながらやったエアホッケーでは片山、松田が超反応を見せるし、

「…………」

 と無言のまま太鼓の達人をやる石井は手の動きが見えないほど(後で話を聞いたらランキングで全国十位以内に入っている曲もあるらしい)だった。おまけに義人がUFOキャッチャーで大量に景品をとっており、この面々の異常さをあらためて知らされたようだった。



 この後の食事では、村松先輩(バタフライの選手。椎間板ヘルニアが原因で全力で泳げない状態。まじめで京都大学を目指す二年)が女装で現れたり、俺も巻き込まれて女装させられたりとさんざんな目にあった。……俺のトラウマ図鑑にまた新たな一ページが刻み込まれてしまった……。……もうお婿にいけない……。



 締めのカラオケでは田村が美声を響かせ(バンプやミスチルの曲)、義人と石井がアニソンメドレーをデュエットしたり(二人も歌は物凄くうまい)、なぜか最後にみんなで<贈る言葉>を歌って終わった。選曲は謎だが楽しい一日だった。そして最後に部長の言葉。

「明日の部活はメニューを小倉さんが考えるそうだ。お疲れ、解散」



 ……テンションが一気に下がった。

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