表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/103

第二十話 大戦

 体育のための着替えは、男子は教室、女子は更衣室で行うことになっている。だから体育の授業後は、一時的に教室が男子だけになる。

 この日の体育の授業後、俺はソフトの後片付けをさせられたので、教室に戻るのが遅くなってしまった。鼻歌(<モンゴル800>の<小さな恋の歌>)まじりに教室に戻ると、何やら中が騒がしかった。扉を開けると、大声で議論が行われていた。

「女子のパーツで一番重要なのは胸だ!!」

「何を言っているんだ!!尻だろう!!」

 ……本格的に転校を考えようかな……。




 そこそこ仲のいい大林(鉄道、車マニア。演歌でNHKのど自慢に出場経験あり。特技は覆面パトカーを見破ること……らしい)に事情を聞いてみたところ、清水ら一部の男子が女子の体でどこを重要視するかという話をしていたのが白熱してしまい、クラス全体に飛び火したそうだ。……しょうもないことにここまで熱中できるのはある意味称賛に値する。もっと別のところにその力を注いでほしいが。

「議長、我ら<ムネン老師軍>に発言の機会を!」

 なんだそのどこかから怒られそうなネーミングは。

「認めます、どうぞ」

「ムネン老師様、お願いします」

「よろしい」

 ……ムネン老師って義人かよ!何やってんだあいつは……。

「我らは女性とは生命を育む神聖な存在と考えておる。女性はその胸で幼子を生き延びさせ、

成長を支え続ける……まさに胸こそが我ら人類、いや哺乳類にとどまらない数多くの生命を育てるかなめと言っても過言ではないだろう……このことからも我らが胸に興味を持つことは必然である。よって女性の最高のパーツ、それは胸である!!!」

 わーっとムネン老師軍から歓声が上がった。盛り上がってるところ悪いが、早く制服に着替えさせてくれ。次は昼休みとはいえ、汗かいた体操服のままではいたくない。

「<シリ仙人>勢にも発言権を!議長!」

「どうぞ」

「シリ仙人様、あなたにかかっています」

「わかっていますよー」

 今度は石井か。大活躍だな、水泳部は。

「生物というものはー、お尻からうまれるものだよねー。それだけでなくてー、生き物は陥入が進むことでー、生物の形を形成していくんだけどー、その陥入場所というのがー、お尻なんだよねー。つまりー、人間も生物である以上ー、最初に形作られてー、生命を産み落とすー、お尻に興味を持つことはー、至極当然なんだよねー。だからー、女性にはー、お尻に一番関心が向くんじゃないかなー」

 うおーっとシリ仙人勢から感動の声が上がった。周りのクラスに迷惑だな、これは。




「そろそろ時間ですので、議決を取りたいと思います」

 議長がそう言うと、クラス内は静まり返った。

「議決は当初の予定通り、<ムッツリ師範>に一任します、よろしいですね?」

 異議なし、と声を揃えてみんなが言った。

「では<ムッツリ師範>こと三井、議決をお願いします」

 ……俺かよ!!!こんな二つ名がつくことになろうとは……悲しくて死にそうだ。

「お願いします」

 なぜに。

「早くしろ……それとも不能か?」

 いらっときて、つい叫んでしまった。

「俺は太もも派だ!!」

「……………」

 クラス内が静まり返った。



 結局議論はうやむやのうちに終わった。……恥ずかしさで死にそうな俺を残して。

「三井、ドンマイ」

「お前は頑張ったよ」

「気にするな」

「……頼むからもう忘れさせてくれ……」

 ……引っ越したい……。

 





ついに二十話到達です。感想とか意見、要望などお待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「ええじゃないか」に投票   ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ