第一話 入学
北高の設立は百年以上前で藩校の流れをくむ由緒正しい学校らしい。
北高の敷地面積は公立校では二番目に広いらしい。
北高は数々の有名人(直木賞作家やスポーツ選手)を輩出しているらしい。
これらはすべて校長が入学式で話していたことである。無駄にすごいことはよくわかった。
入学式も終わりクラスが発表されると、腐れ縁の友人、杉田義人と同じクラスだった。
「よし、旦那も同じクラスだな」
「何がいいのか知らんがまたお前と同じクラスか。何か憑いてるんじゃないか?」
小、中学校通算ではこれで七回目である。しかしよくいえば社交的な義人がいるのは内向的な俺からすれば好都合だった。悪く言えばでしゃばりでうっとうしいことでもあるのだが。
クラスに行くと黒板に「全員そろったら自己紹介を開始してください」と書いてあった。俺たちが最後だったらしく、名簿の一番から自己紹介と質問が始まった。やはりと言うべきか濃い人が多かった。
〜例1〜
「趣味は読書とビデオ観賞だ。よろしく」
「具体的には?」
「最近のヒットは<はぴ○す>や<ダ・カー○II>だ」
エロゲーをノベル化したやつじゃねえか。知ってる俺(義人経由)もどうかと思うが。しかも聞いたとたん同類を見つけたように喜々としているやつが十人(うち数名は女子)はいるぞ。大丈夫かこの学校。
〜例2〜
「勉強量が高校では増えそうなので自由時間がとれるか心配です。一年間どうぞよろしくお願いします」
おお。どうやらまともそうだ。
「勉強時間どれくらい取ってる?」
「一日三時間くらいですね。」
すごいな。おれなんて受験後は宿題(進学校だけあって入学説明会で渡された)を一日一時間やるだけでつかれてたのだが。
「ほかの時間は何してんの?」
「数学です」
数学は勉強じゃないのか!?
〜例3〜
「部活中心でがんばろうと思ってる。中学で水泳部だった人がいたら一緒に入ろうぜ!」
ふむ。俺も中学では水泳部だったし入る人がいるなら続けるか。
「種目は何でどれくらいの成績ですかー?」
だれかが俺が聞きたい事を聞いてくれていた。グッジョブ、だれか。
「二百のフリーで二分二秒くらいだな」
ふーん……って二分二秒!?全国レベルじゃねえか!
「去年は全国大会に出たんだ。水泳部に入って全国を目指そうぜ!」
名前を聞いたら去年の県大会の最優秀選手だった。……文武両道か、うらやましい。
この後もやれ全国レベルのピアニストだの、ラグビーの県代表だの、能力が異常な人たちがかなりいた。もしかして凡人なのは俺だけではないかとショックを受けながら、自己紹介が終わるのを聞いていると、終了と同時に教師が入ってきた。おもむろに教壇に立ったので自己紹介をするのだろうと重い、姿勢をただすと、その教師はこうのたまった。
「担任の山本です。私が担任とはあなたたちもついていませんねぇ。まあ私のことは徐々にわかるでしょう。明日からの予定のプリントが前にあるので取ったらとっとと帰ってください。解散。」
それだけ言うとその教師は帰って行った。実に十五秒。どうやら変なのは生徒だけではないらしい。
「な、この学校おかしいだろ?」
義人がそうにやにやしながら言うのを聞きながら、俺は思わずつぶやいていた。
「何なんだ、この学校……?」
初小説です。少しづつ書いていこうと思ってるので、よければ感想ください。